オリンピックへの道BACK NUMBER
東京五輪を引き寄せた1つの数字。
五輪での薬物違反者「0」の意味。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byGetty Images
posted2013/09/09 11:45
見事なプレゼンテーションを披露し、日本開催を引き寄せた太田雄貴と滝川クリステル。あとは世界への宣言を実現し、期待に応えるだけだ。
国が責任をもって汚染水漏れに取り組むという約束。
こうして、2020年のオリンピックは東京で開催されることになった。
懸念材料となっていた汚染水漏れに関して、安倍晋三総理はプレゼンテーションで、「福島第一原発の状況は制御されており、東京にいかなる悪影響を及ぼしたことはなく、今後もない」、質疑では「影響は港湾内0.3平方kmの範囲内で完全にブロックされている」、そして解決に向けたプログラムを決定し既に着手したとした上で、「責任を完全に果たす」と説明し、不安の払拭に努めた。
その言葉と現実との齟齬はさておき、総会で語ったことは、国が責任をもって取り組むという世界への約束であり、汚染水漏れを伝える海外メディアの批判にこれから応えていこうというものでもある。
「敗戦から立ち直り、平和で豊かな日本に来てほしい、見てほしいという気持ちがあった」
1964年の東京五輪を撮影したカメラマンから、当時かかわったスタッフの心境を伝え聞いたことがある。
2020年に見てほしい東京を、日本をどう思い描くのか。
願わくば、IOC総会での約束を守り、五輪招致活動にあった「復興」を忘れず、スポーツを軸に福島をはじめ東北の人々も笑顔になれるような大会を。そして世界中の人々が、「来てよかった」と思える場を。
そのための準備の時間が、これからの7年である。