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故障でシードを失った丸山茂樹、
テレビ解説で新境地を開拓! 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO

posted2013/07/19 10:30

故障でシードを失った丸山茂樹、テレビ解説で新境地を開拓!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS/AFLO

日本プロ選手権日清カップでテレビリポーターとして来場した丸山茂樹。3日目終了後には首位に立った松山英樹と握手を交わした。

僕も現役だから、人に塩を送ってばかりはいられない。

「テレビで言っちゃいけないことも、いっぱいある。(ミスをした場面で)『こうやっちゃうんだよなあ』って思いながら、『仕方ないですよね』なんて言ってね。家だったら、全然違うよ。『ほら、言ったろう? ああ、なりやすいんだよ! あれを覆すようなメンタルがあればもっと強いのに』なんて言ってる。テレビでは、ほぼ使えないよ。もっとワードを増やしていければね……」

 本音が飛び出すのを必死にこらえ、表現力を磨いてオブラートに包み込む。フェアウェイの外で丸山はまた別の戦いを経験しているのである。

 プロゴルファーは、基本的には「引退」が無い職業だ。それが幸か不幸かは別にして、出場できる試合さえあれば生涯現役を貫ける。だからこそ解説する側と、される側という立場が、翌週にはタイトルを争う敵同士になる可能性も十分にあるのだ。丸山も「まだ僕も現役だから、人に塩を送ってばかりじゃいられない」という。

 それでも丸山は「でもね、そんなの、減るもんじゃないんだよ」という。

「(試合は)旬の人間が頑張るか、頑張らないかの違いだから。自分がその人に塩を送って、(自分と争って)優勝してしまった。でもそれが何なの? オレはそれで良いと思ってるのよ。中継に映った選手が、少しでも参考にしてくれたら非常に嬉しい。そういうことを伝えたい」

解説ブースから他選手を見て、改めて気づくこと。

 知識や感性をひけらかしたいのではなく、それを共有できれば、きっとツアーのレベルも上がるはずなのである。そして解説ブースで見る他選手たちのプレーは、丸山にとっては勉強にもなっている。普段、一緒にフェアウェイを歩く時のそれとは違った気づきがあるのだ。

「(解説をして)改めて気づいたことがたくさんある。『だから彼はうまいんだ』、『こういう風だから勝負運が無いんだなあ』なんてね」。実際今年に入って、自分のかつてのエースキャディである杉澤伸章を通じ、宮里優作にコースマネジメントや状況判断についてアドバイスを送ったこともあるという。

 丸山は、永久シード権取得に必要な25勝を満たしていない。来季以降、生涯獲得賞金25位以内の選手に1度だけ与えられる1年間の特別シードを利用し、再び檜舞台に挑むという選択はもちろんある。しかし、完治への道筋すら見えてこない左手、いまだに18ホールを回るだけでグリップの形が変わってしまうほどに膨れ上がる患部を見れば、「復活して、あと15勝」といった理想は、軽々しく口にできない。

 だが、フェアウェイの外でも、持ち前のビッグスマイルと独自のコメントで、丸山はゴルフファンを楽しませてくれるはずだ。

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