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「エースの座」を巡っての切ない想い。
原監督と内海の恋は成就するのか? 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/09/29 12:20

「エースの座」を巡っての切ない想い。原監督と内海の恋は成就するのか?<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

祖父である内海五十雄が元巨人野手だったこともあり、その“巨人愛”は並大抵のものではない内海。高校卒業時には巨人以外の指名を拒否して社会人野球に進み、3年後に巨人入りしている

ベンチで号泣し、「やるしかない」と決心していた内海。

 昨年の「ニセ侍」発言の直後のヤクルト戦では、6回2失点と好投にもかかわらず、降板直後に人目をはばからずベンチで号泣していた。「論ずるに値しない」発言の直後には帽子のひさしに「やるしかない」と書き込み、その後の横浜戦ではまだ負けてもいないのに点を取られただけで全力で頭を抱えてしまった。

 傍から見れば、怒ってばかりの指揮官と、だらしのないエース候補のドタバタ劇なのだろうが、同じ想いを持つこの2人の、「エース」を巡るもどかしいばかりの片道通行っぷりは、なかなかに味わい深い。最終回が近いのにちっとも成就しない恋愛ドラマでもみているようだ。

 そのドラマもいよいよ大詰めを迎えた。9月28日の阪神戦。負ければ4連覇の望みが断たれる今季最後の大一番の先発のマウンドに、原監督はローテーションの朝井を飛ばして内海を指名。5回4失点で降板と満足できないピッチングながら、チームが勝ったことで「エース」としての責務をなんとか果たすことができた。

 物語はシーズン終盤、CSと続く最終局面へと入った。果たして原監督はエースとしてのラブコールを送り続けるのか? そしてその時、内海は? 2人の一挙手一投足から目が離せない。

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