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ザックジャパン控え組の旗頭、
中村憲剛の「確固たる意思」。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byToshiya Kondo

posted2013/07/10 10:30

ザックジャパン控え組の旗頭、中村憲剛の「確固たる意思」。<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

J1再開後の初戦、中村憲剛は自身のFKによるゴールを含め3得点に絡む活躍。鹿島相手に4-2の勝利をおさめた。

 ザックジャパンに休息はない。

 コンフェデレーションズカップは3戦全敗に終わったが、7月後半には中国、オーストラリア、韓国と対戦する東アジアカップ(男子・7月20日開幕)が待っている。

 世界トップの国々が出場する大会と比べてしまうとファンの興味が低下してしまってもおかしくはないのだが、今回の東アジアカップは逆に注目が高まっているような感じもしている。というのも、今回は海外組を一切招集しない方針(J2の日程を配慮してG大阪の遠藤保仁、今野泰幸も見送り確実)なのだ。つまりある程度固定化されてきた“序列”が解かれ、これまで代表に呼ばれてこなかった、または呼ばれても出場機会に恵まれてこなかったJリーグの勢いのある選手が招集されるという期待感があるからに他ならない。

 そんな折、中断していたJ1が6日に再開した。柿谷曜一朗、豊田陽平らの新戦力候補ばかりが話題をさらっているが、田中マルクス闘莉王、大久保嘉人らの南アフリカ組、槙野智章、柏木陽介らの元常連組など、代表のチャンスが目の前にあることもあってモチベーションが高い選手は多い。

 だが忘れてならないのが、ここまでザックジャパンを支えてきた国内のサブ組たちの存在だ。コンフェデに参加したなかでは、西川周作、権田修一、栗原勇蔵、伊野波雅彦、高橋秀人、中村憲剛。ここにはブラジルに帯同しなかった駒野友一も入ってくるだろう。陰から今のチームを支えている彼らにとって、東アジアカップは先発で出場できる可能性が高くなる舞台。彼らの鼻息も荒くなっているのではあるまいか。

世界での経験をプレーに落とし込みたい。

 今、乗っているのが中村憲剛である。

 彼に休息は必要ないようだ。

 ブラジルから帰国して中4日でのナビスコカップ準々決勝、仙台戦で2ゴールを上げる活躍を見せた。時差ボケや移動の疲れよりも、世界の舞台で戦った経験をプレーに落とし込みたいという確固たる意思が伝わってきた。

 彼のプレーを直接見て確認しておきたいという衝動に駆られ、筆者は6日のカードから川崎―鹿島戦を選んだ。やはり、中村の充実ぶりには目を見張るものがあった。

 トップ下のポジションで流動的に動き、相手の間に入る絶妙なポジショニングでボールを受けて狭いスペースでも次々にパスを通していく。

 チーム2点目は、スピードを落とさずに全速力でペナルティーエリアに入ってくる風間宏矢に中村のノールックパスが通り、大久保のゴールが生まれた。3点目は、ピンポイントに曲げて鋭く落とすワールドクラスのFKで今季リーグ戦初ゴールを決めた。そしてまた4点目は、ワンツーからレナトにパスを送って大久保のゴールにつなげている。4ゴール中3ゴールに中村が絡んでいる。

 攻撃の最後の場面で相手守備陣を崩し切る役割を担い、その中村の判断スピードの速さに鹿島がついていけていなかったという印象がある。

【次ページ】 コンフェデを経て、判断がコンマ何秒か速くなっている。

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