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石川遼が憧れた“キング”薗田峻輔。
ふたりの因縁対決を振り返る。 

text by

雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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photograph byKYODO

posted2010/09/14 10:30

石川遼が憧れた“キング”薗田峻輔。ふたりの因縁対決を振り返る。<Number Web> photograph by KYODO

プレーオフで死闘を演じた2人にもついに決着が。フジサンケイクラシック最終日、薗田峻輔と握手する石川遼。石川は今季2勝目(通算8勝目)で、ランキングトップにも立った

プロ入り早々ツアー初優勝を飾り、石川を猛追する薗田。

「池田勇太さんもそうだったけど、プロになって最初は大変でも、ファイナルQTまでいってシーズンの前半戦に出られる状況になれば、プレースタイルもアマチュアのものから何か変わっていくんじゃないかと思った」

 その判断は間違いではなかった。

 昨年の予選会で見事に今季の出場権を獲得した薗田は、6月のミズノオープンよみうりクラシックで早々とツアー初優勝を成し遂げた。後輩であり、プロとしては先輩となる石川に一歩近づいたプロ5戦目の快挙だった。

 そして、9月のフジサンケイクラシックでは気心の知れた2人が歴史に残る死闘を演じるのである。

 初日から互いに好スタートを切ると、3日目には同組で競い合い、石川が単独首位、薗田が3打差の2位で最終日を迎えた。まずは薗田がビハインドをひっくり返して首位でホールアウト。すると今度は石川が最終ホールの劇的なバーディーで追いつき、優勝争いをプレーオフにまで持ち込んだ。

 4ホールに及んだプレーオフは、一打一打に息をのみ、互いに一歩も譲らぬ展開となった。

死力を尽くして戦った元「先輩と後輩」。

「すべての視線が僕と先輩のショットに注がれている夢のような時間だった。いつまでも続いてほしいプレーオフだった」

 幕切れは意外な形で訪れた。薗田の1メートルのパーパットがカップにけられての決着。予期せぬ結末の瞬間、石川の表情は緩むどころか、むしろこわばっているように見えた。

「次のホールにいく準備はできていたし、そう思いこんでた分、衝撃は大きかった。どう思ったらいいか分からなくて、お互いにもっといいものを続けられたらなという複雑な気持ちだった」

 この素晴らしい時間が終わるとしたら、それはどちらかのバーディーによる華麗な結末がふさわしい。釈然としない表情の理由はそんなところだったのかもしれない。

 しかし、互いに死力を尽くした戦いに、いい終わり方、悪い終わり方があるはずもない。見守った人々の記憶に刻まれたのは、意地と信頼が築き上げた石川と薗田にしかできない激闘だった。

【次ページ】 共に戦い成長していくふたりの関係はこの先も続く。

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