オリンピックへの道BACK NUMBER
ドーピング検査強化でますます有利。
鉄人・室伏広治、ロンドン五輪で金も!?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2010/09/13 10:30
「ハンマースローチャレンジ」では2位に2.47m差をつけた室伏広治。国際陸連は 優勝賞金3万ドル(約251万円)を贈呈すると発表。すでにロンドン五輪に向 けてのトレーニングを開始している室伏、「これからも1投1投を大事にしたい」と語った
ドーピング検査の強化は「私にとって有利になります」。
ところで、ハンマー投げと言えば、'04年のアテネ五輪では、優勝したアヌシュが尿検体のすり替えを行っていたことが判明。再検査も拒否したため、金メダルの剥奪が決定し、2位だった室伏が繰り上げで金メダルとなった。
'08年の北京五輪でも、2、3位に入った選手のドーピング疑惑が浮上。一度はメダルが取り消しになったが両選手がスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。今年の6月、訴えが認められたため、結果的にメダルは取り消しにはならなかったものの、CASは両選手が潔白とは言えない趣旨の表現をし、すっきりしない結末に終わった。
それに対して室伏は言った。
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「検査は厳しくなるでしょう。ロンドン五輪へ向けて、私にとって有利になります」
薬に頼ることなく、創意工夫をもって世界のトップレベルで戦ってきた価値もまた大きい。室伏への海外の視線に、敬意が含まれる理由でもある。
表彰台を目標に掲げるロンドン五輪は、37歳で迎える。だが今の姿を見ると、まだまだ可能性を自身の手で広げていくように思える。
そういえば、室伏の父であり同じハンマー投げの選手だった重信氏が、自己最高記録を出し日本記録(当時)を塗り替えたのは39歳のときだった。
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