「利」を優先させたトレード劇の勝者はどのチームか？

　ヤンキースはトンビに油揚げをさらわれ、激怒したようだ。ニューヨークのメディアによると、「マリナーズとの間には冷たい空気が流れ、今後しばらく両チームが交渉のテーブルにつくことはないだろう」とまで言われている。それでもきっと、今季のオフにはヤンキースは大枚をはたいてFAとなったリーと契約する公算は大きいと思う。

　では、マリナーズはどうか？　優勝争いから脱落したこの球団は、リーという商材を使って未来の一塁手を獲得した。スモークがどの程度の選手になるかで、このトレードの成否が計られる。

　レンジャーズは未来の一塁手を放出し、今季の優勝にかけた。リーがどれほどの活躍を見せるのか、プレーオフでヤンキースと対戦したら面白いことになるだろう。

　このように、メジャーのトレードに感傷はない。情ではなく利を優先させる。編成を担当するジェネラル・マネジャーもまた、結果を残せなければクビになるから「プロ」に徹するしかないのだ。