野球善哉BACK NUMBER
開幕ローテ確定の阪神・藤浪晋太郎。
新人離れした“巧さ”が直球を殺す。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2013/03/29 10:31
春季キャンプ中、オリックスとの練習試合で初めて登板した時の藤浪の投球フォーム。
二軍でストレートに磨きをかける時間があってもいい。
彼の「巧さ」があったなら、一軍でもある程度の勝ち星を重ねられるだろう。昨年の釜田佳直(楽天)や武田翔太(ソフトバンク)ほどの成績を残しても驚くことではない。
だが、藤浪の野球人生は今年1年だけではない。5年後、10年後、20年後の野球界を背負って立つべき逸材なのだ。1年目の10勝にとらわれるよりも、4年後の沢村賞、20年後の200勝という視野に立った育成が、今年は必要なのではないだろうか。
勝利が至上命令の一軍の舞台では、敗北を覚悟してまでの思い切った投球はできない。どうしても、勝てる“巧さ”でかわそうとしてしまうだろうが、それでは意味がない。
ファームでたくさん投げ、ストレートを磨く。
“巧さ”に頼らず、真のストレートを磨いていく。
勝てない時もあるかもしれないが、藤浪にはその方がいい。
なぜなら、藤浪は敗北から這い上がってきた選手なのだから……。