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ソチ五輪3枠を死守した羽生と高橋。
苦境の中でも見せた責任感ある演技。
 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byTsutomu Takasu

posted2013/03/17 12:15

ソチ五輪3枠を死守した羽生と高橋。苦境の中でも見せた責任感ある演技。<Number Web> photograph by Tsutomu Takasu

渾身の演技で、ソチ五輪出場3枠を死守した18歳の羽生。オーサー・コーチによると、練習再開は3月6日で、以降も10分間しかジャンプの練習はできなかったという。

3連覇したチャン以上の存在感を見せたデニス・テン。

 日本の3人が、それぞれの戦いで終えた世界選手権を制したのは、地元カナダのパトリック・チャンだった。3連覇である。

 今シーズン、苦しみ続けたチャンだったが、ショートでは圧巻の演技で、羽生の持つ世界歴代最高得点を塗り替える98.37点で2位以下を引き離し、首位に立つ。フリーではジャンプのミスなどが出たものの、ショートの貯金で逃げ切った。

 チャン以上のインパクトを残したのは銀メダルを獲得したデニス・テン(カザフスタン)。フリーが終わった瞬間は、チャンを逆転したのではないか、そう感じさせるほどだった。ショートでは90点を超える高得点を叩き出し、「眠れなかった」という緊張を乗り越え、フリーでも完璧な滑りを見せた。

 そしてショートとあわせ266.48点と、優勝したチャンの267.78点に僅差に迫ったのである。

 テンは19歳、大きな自信を得たことで、銅メダルのハビエル・フェルナンデス(スペイン)とともに、ソチへ向けて名乗りを上げた大会となった。

 こうして終わった男子は、あらためて、オリンピックの出場枠を獲得することの重さを実感させられるものであった。

 日本の3人の選手たちがそれぞれに、収穫と課題を見つけ、表彰台こそなかったものの、心に残る滑りを見せた大会でもあった。

 来シーズンは、オリンピックへの3枠をめぐり、巻き返しを図る小塚崇彦、織田信成らも交え、厳しい戦いが続くことになる。

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