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“全員で崩す”浦和を象徴する最前線。
シュート数ゼロ、興梠慎三の献身ぶり。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2013/03/13 12:40
今季、8年間在籍した鹿島から浦和に移籍した興梠。現在26歳、選手としても今まさに円熟期を迎えようとしている。
興梠の献身的なプレーは、監督の求める連動性の象徴!?
2007年にACLを制覇した際の浦和は、現在所属する阿部や鈴木だけではなく、長谷部誠や小野伸二、闘莉王らを擁した豪華メンバーだった。その中でも攻撃の核だったのは圧倒的な高さと強さを誇ったワシントンに加え、卓越した技術でゴールに直結する働きをしたポンテという2人のブラジル人選手の個人能力だった。
現在も多くの日本代表経験者を擁する浦和だが、'07年当時に比べると、チームの方向性が明確に違うことを伝えたかったのだろう。ミシャの求めている連動性の象徴は、興梠の献身的なプレーとも取れるのだ。
とはいえ、この日の興梠は、強引にシュートへ持ち込める場面が何度かあったのも事実である。68分に原口のアウトサイドパスを受けて抜け出したが、ペナルティエリア付近で相手ディフェンダーに追いつかれてシュートまで持ち込めなかった場面は象徴的だ。
本人も「サポーターの方々はFWに点を取ってほしいと思うだろうし、その期待には応えないといけないと思います」と期待を感じている部分はある。
それでも、こう続ける。
「今は(自分が)早くゴールを取ろうという思いではないし、徐々に取れると思います。それまでは我慢です」
コレクティブなミシャ・スタイルの下、興梠はすでに浦和に欠かすことのできないFWとなっているのは確かだ。それに加えてストライカーらしい、ゴールへの貪欲さを発揮し始めたら……相手としてはさらに厄介な存在となってくる。