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キャリア晩年を南半球で謳歌する、
デル・ピエーロ“第4のサッカー人生”。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2013/02/19 10:30

キャリア晩年を南半球で謳歌する、デル・ピエーロ“第4のサッカー人生”。<Number Web> photograph by AFLO

ゴールを決めたあと、お決まりの舌を出すパフォーマンスを見せるデル・ピエーロ。ブラジルの名門フラメンゴへの移籍話も浮上したが、本人はシドニーFCの退団を否定している。

キャリアの中で何度も“転生”してきたデル・ピエーロ。

 21節を終えて5位につけるシドニーFCは、上位6チームで争われるプレーオフを見すえて、オーストラリア代表主将のベテランDFニールを補強した。

 3月末までのレギュラーシーズンは残り6試合。中位は団子状態で勝ち点差が詰まっており、最終節まで予断を許さない。ここまで計11得点のデル・ピエーロはゴールランキング4位タイにつけており、得点王も十分狙える。

 舞台とレベルが変われど、この緊張感こそ、彼が心のどこかで欲していたものなのだろう。

 デル・ピエーロは、長いキャリアの中で何度も“転生”してきた。

 1度目はセリエBのパドヴァからセリエAのユベントスに移籍し世に出た'93年、2度目が左膝の重症から復帰した'99年。3度目がいわゆるカルチョ・スキャンダルが発覚し、セリエBでプレーすることを選んだ2006年。そして、シドニーFCでの冒険が「4度目のサッカー人生だ」と本人も位置づけている。

 今、スカイブルーの10番を背負うデル・ピエーロとシドニーとの来季契約交渉が、大詰めを迎えている。2シーズン目オプションの行使期限は今月末だ。一方で南米からは、アディダス・ブラジルを資金源にするフラメンゴの魅力的なオファーが届いているらしい。

 母国イタリアも、ヨーロッパ大陸でさえも、デル・ピエーロという本来奔放だったサッカー選手には小さすぎたのかもしれない。名門の主将という重責から逃れた今、彼はむしろ思うがままにサッカーを謳歌している。おそらく再び南半球で迎えるであろう選手生活23年目の開幕前にも、きっと陽気に歌いだすにちがいない。

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