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侍ジャパンは2次ラウンドで敗退!?
好投手が揃うライバル国に要警戒。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byAFLO
posted2013/01/21 10:30
2006、2007年に2年連続で19勝を挙げるなど、ヤンキースのエースとして活躍した王建民(2010年よりナショナルズ)。台湾代表の一員としてWBCでどんな投球を披露するか注目される。
「日本はWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の2次ラウンドで敗退する」
アメリカの「FOXスポーツ」の「クローズアップ・ナウ」という番組で、日本をよく知る元メジャーリーガーがこんな予想をして話題となった。
この大胆予想をしたのは同局専属アナリストのマット・ステアーズ氏とリック・デンプシー氏。2人ともメジャーでプレー経験があり、セイバーメトリクスを駆使した戦力分析に定評がある。特にステアーズ氏は1993年に1年だけ中日に所属してプレーをしている上に、WBCにもカナダ代表として出場経験がある国際野球の事情通である。
その2人が、口を揃えて日本の2次ラウンド敗退を予想したという。
「メジャーリーガーが参加しないのは、日本にとって大きなマイナスポイント。ハイレベルのメジャーリーグを経験していない選手ばかりが集まった日本代表は今まで経験したことのない国際試合特有のプレッシャーに苦しめられるだろう。第2ラウンドで韓国にも、そしてキューバにも勝つことはできないと思う」(ステアーズ氏)
「イチロー(ヤンキース)が日本代表に参加しないのは米国にとって朗報だ。彼は抜群のプレーだけでなく、グラウンド外で選手たちをまとめ上げるリーダーシップを持つ存在だけにとても厄介だった。日本のダメージは計り知れない」(デンプシー氏)
2人の言い分は、メジャーリーガー、特に過去2回の日本代表の顔だったイチローのいない日本代表は恐るるに足らず、ということだという。
相手に対する威圧感は無いが、今回の日本代表は実力派揃い。
確かにイチローやダルビッシュ有投手(レンジャーズ)、黒田博樹投手(ヤンキース)らが、いるのといないのとでは、相手に対する威圧感という点では違うかもしれない。
例えば日本のファンが、メジャーリーガーでも名前のあまり知られていない実力派の若手より、アレックス・ロドリゲスやデレク・ジーター(いずれもヤンキース)に、迫力を感じるのと同じ部分があるだろう。
ただ、力的には若い実力派を揃えた今回の日本代表候補の顔ぶれは、決して過去2大会に見劣りするものとは思わない。そういう意味ではFOXのアナリストたちが言うように、イチローがいないことが、日本が2次ラウンドを突破できない大きな理由にはならないと言える訳だ。しかしその一方で、結果的にはこの予想が的中してしまう可能性も、半分ぐらいはあるのではないかと思うのである。