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<俳優の超私的トレーニング> 石丸謙二郎 「ちょっと危険な場所を走り回ることで結果的に鍛えられている」 

text by

秦野邦彦

秦野邦彦Kunihiko Shinno

PROFILE

photograph byNanae Suzuki

posted2013/01/18 06:00

<俳優の超私的トレーニング> 石丸謙二郎 「ちょっと危険な場所を走り回ることで結果的に鍛えられている」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

趣味って、のめり込むから自分を限界まで追い込む。

 僕は趣味こそが身体を鍛える最善の方法だと思っているんです。ジムに行ったってせいぜい2時間が限界じゃないですか。海に出れば、ジムでのトレーニング以上のことを4時間も5時間も続けられる。どれだけご飯を食べても太りませんから。根性と精神論で鍛える考え方もありだと思うんですけど、それはせいぜい30代まで。40代を越えると自分の中に快感がないと絶対続きません。趣味って、のめり込むから自分を限界まで追い込むんですよ。もちろんジムで鍛えることも趣味だと思えたらいいんです。ジム通いを楽しめたら一番だけど、この先10年も20年も続けられるかっていうとなかなかね。

 いま僕は“水の上をエンジンを使わずにどれだけ速く走れるか”をテーマに、ウインドサーフィン日本最速記録の時速75.6kmに挑戦しているところです。先日も台湾のポンポンビーチという風の強いところに行って波うち際2~3mの所を時速71.13kmで走ってきました。日本3位の記録ですけど、たぶん1年以内には夢を実現させると思いますよ。そのためには身体の準備がものすごく必要で、生半可な筋肉と運動神経じゃできない。だから風のない日は山に登ったり岩場を走る。すべてが趣味につながっているんです。

いま59歳ですが、79歳の自分からすれば、まだまだ身体は動く。

 古くは剣道とか柔道の格技の時代があって、僕らが育ったのは球技の時代。ただ、球技って足が速くて運動神経が良くないと選手になれないんです。いまはスノボとかウインドサーフィンといった遠心力競技の時代。これは足の速さや運動神経はあまり関係なく誰でもできるし、最初から練習というものが無いんです。始めたときが既に本番で、しかもそれが練習になっている。つまり本番が体を鍛えることになるスポーツの時代になったんです。それを若者のものだと言わず、何歳からでも始めるのがてっとり早く筋力を鍛える最短の道。僕も40歳以上のアマチュアを対象としたウインドサーフィンの「ザ・マスターズ」大会を主催していますけど、60歳を越えてから始めるという人もずいぶんいますから。

 僕はいつも20年後の自分が現在の自分を見ていると考えているんです。いま59歳ですが、79歳の自分からすれば、まだまだ身体は動く。そう思えば大抵のことはできるもんですよ。

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石丸謙二郎

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