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ヤクルトの“若手育成路線”は、
プロ野球人気復活の起爆剤となる!! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/01/10 10:31

ヤクルトの“若手育成路線”は、プロ野球人気復活の起爆剤となる!!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2008年ドラフト3位で福井商から入団した中村悠平。2軍で着実に実績を積み重ね、昨シーズンから1軍に定着。22歳とまだ若手だが安定した活躍を見せた。

若手の積極的な登用こそがチームを強化する早道だ!

 主力選手が流出してチーム力は落ちているはずなのに結果を見れば弱くなっていない、という典型的な例が次の3チームである。

 '04年/西武(2位⇒日本一)松井稼頭央→メッツ

 '07年/日本ハム(日本一→1位)新庄剛志→引退、小笠原道大→巨人

 '08年/西武(5位⇒日本一)和田一浩→中日、カブレラ→オリックス

「チームは新陳代謝を経ていくことで強くなっていくのではないか」――西武や日本ハムの編成はそういう手応えを持ったはずだ。それは主力選手がアメリカに渡ってもファンに支持されるチームを作ることができるという自信につながる。

 現在、プロ野球界が抱えている問題を解決する糸口がパ・リーグ型、ヤクルト型のチーム作りからは垣間見えてくる。

 ヤクルトが強くなるのはヤクルトだけの問題ではない。今試されているのは方法論である。しかし、'12年のドラフトでヤクルトは1~7位まで高校生は3位田川賢吾(高知中央)1人という極端な即戦力指名を行なった。

 その指名の背後からは、「小川淳司体制は監督代行時代も含めれば来年で4年目を迎える。そろそろリーグ優勝という結果がほしい」というプレッシャーをかける上層部の声が聞こえる。もちろん結果は重要だが、「育成」という方法論を忘れて結果だけ求めるような上層部の性急さには「ちょっと待って」と言いたい。

 何度も言うが、今試されているのは方法論なのである。

 ヤクルトが歩む実験的な道を、私はもう少し見てみたい。

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