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無敗王者ユーベを撃破したインテル。
“国内外アウェー10連勝”の秘密。
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2012/11/15 10:30

11月3日、ユベントスとのイタリアダービー。長友の活躍もあり勝利したインテルは、首位ユベントスに1ポイント差に迫った。しかし11日のアタランタ戦で敗れ、その差は4ポイントに広がっている。
アウェーゲームで勝ち点3を奪うのは、どんなチームにとっても難しい。破竹の“国内外アウェー10連勝”をマークしたインテルの好調は本物といっていい。
8月2日のヨーロッパリーグ(EL)予備予選ハイデュク(クロアチア)戦から始まったこの連勝劇は、EL決勝トーナメント進出を決めた11月8日のパルチザン・ベオグラード(セルビア)戦まで続いた。だが、スクデット3連覇時代のマンチーニ監督(現マンチェスター・C)が、'06-'07年シーズンに記録したアウェー9連勝を更新しても、現指揮官ストラマッチョーニはあまり興味がない様子だ。記録にこだわらずとも、現在のチームには自信が漲っている。
「ヨーロッパリーグこそ自分たちのチャンピオンズリーグだと思って戦っている。連勝を続けることも大事だが、真剣度を維持することも重要だ」
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連勝の中身は濃い。とりわけ、王者ユベントスの無敗記録を止めたトリノでの一勝には大きな意味があった。
ユベントス戦、ダメ押しの3点目は長友の粘りのドリブルから。
9節カターニャ戦でユベントス有利の誤審が続き、審判団への不信が高まる中、敵地へ乗り込んだインテルは、試合開始20秒でMFビダルに先制ゴールを許してしまう。だが、アシストしたMFアサモアは完全にオフサイド・ポジションだった。さらに、前半34分に退場必至だったMFリヒトシュタイナーのラフプレーが見過ごされたことで、インテル全員の闘志に火がついた。
中盤のパスワークで王者に真っ向勝負を挑み、最前線から献身的なプレスで司令塔ピルロを抑え込んだ。ミリートの2得点とパラシオのダメ押し弾で、後半に3点を奪う大逆転勝利。後半44分の3点目を生んだのは、長友が粘りのドリブルから放った絶妙アシストだった。
第7節のミラノ・ダービーでは、長友の退場によって1人少ない状況に陥ったが、終盤のミランの猛攻を耐え凌いでいる。サンシーロで勝ち星を上げられずに四苦八苦していた開幕直後のインテルとは完全に別物。チームが生まれ変わった秘密はどこにあるのか。
ストラマッチョーニは「転機はシエナ戦だった」と10連勝後に明かしている。