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ベイスターズは変わったのか――。
涙にくれた2012年を総括する。 

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byKyodo News

posted2012/10/23 10:31

ベイスターズは変わったのか――。涙にくれた2012年を総括する。<Number Web> photograph by Kyodo News

10月8日の横浜スタジアム最終戦で大演説をするベイスターズの中畑監督。

春田オーナーは最大限の補強を明言したものの……。

「これで悔しいと思わない選手は今すぐに野球を辞めた方がいい」

 最終戦後、ある選手がそんなことを言っていた。今シーズン最後の屈辱的な3連戦は、選手が発奮する材料としてこれ以上ない出来事だったと思う。

 これだけのことがあって、変わらなければ嘘だ。DeNAの1年目。いろんなことが「変わった」と言われたが、順位の棒グラフを心電図に置き換えれば死んだまま。過去に何度もあった「来年こそ変わる」と言ってきたことと同じだ。

 中畑監督にしても、優勝した'98年の権藤監督以降の歴代監督――森祇晶(2年目の9月に休養、黒江透修が監督代行)、山下大輔、牛島和彦、大矢明彦(3年目の5月に休養、田代富雄が監督代行)、そして、尾花高夫らと同じように、1年目でチーム改革を打ち出し現実に打ちのめされ、2年目は球団を覆い尽くす大きな闇に飲まれ、失意のまま退任・解任となる無残すぎる「2年監督」の路線をここまではなぞっている。

 だが、今回は様子が少し違う。

 最終戦の中畑清の言葉が火をつけたのかはわからないが、シーズン終了後、DeNA春田真オーナーは「戦力が足りない、お金をかけていない、という逃げ道は作りたくない。全面的なバックアップをする」と最大の補強をすることを明言した。

ファンを裏切るのは今季で最後にしてくださいよ!

 すでにMLBから復帰する福留孝介の獲得がほぼ確実となり、さらには松坂大輔、寺原隼人、ブランコ獲りにも参戦するなんて報道も出ている。フロントが大物獲りの本気モードになったことは、前体制から比べれば大きな進歩なのであるが、それが逆に怖い。お魚屋さんや赤坂放送局時代とは違い、失敗が絶対に許されなくなるという意味で。

 DeNAはオークションから始まり、商売になるコンテンツを厳しく取捨選択しながら成長してきた企業である。今こそ球団経営に本気で打ち込んでくれてはいるが、いくら投資しても成果の伴わない赤字を垂れ流すだけの不良コンテンツだと判断されてしまえば、本社サイドから一瞬で見切りをつけられ、再び移転・身売り・解散の危機に陥ってしまう可能性は十分にある。

 来シーズンは「なんか、雰囲気が良くなった」では済まされない。負けたらクビの中畑監督だけでなく、チームとしても絶対に結果を残さなければ、未来はないところまで来ているような気がしてならない。

 何度も「変わる」と言っては裏切り続けてきたベイスターズが本当に変わるため、足りなかったもの、必要なもの。そんなものを掴みに「多少壊してもいいと思っている。地獄になる」と宣言された秋はすでにはじまっている。

 来シーズン、東京ドームにはためくオレンジ地獄が続くかどうかは、この秋の地獄が本物かどうかに懸かっている。「這い上がれ」。言葉だけじゃなくて、頼むから。本当に。

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