南ア・ワールドカップ通信BACK NUMBER
岡田監督の方針転換に大きな疑問。
これではフランスW杯直前と同じだ!!
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2010/06/03 10:30
南アW杯への出発を目前に、鳩山由紀夫首相へサイン入りユニフォームを手渡す岡田武史日本代表監督
12年前も大会直前で韓国に敗れ、慌てて布陣を変更した。
イングランド戦は最終調整の過程であり、選手は試合用の身体作りをしていなかった。後半途中からの失速の原因ははっきりとしており、ワールドカップでは最後までスタミナが持続され、もっともっと攻撃に人数を割けるようになるかもしれない。
それでも、しかし──。
4-1-4-1が現実的な対処法だとしても、心のざわつきを抑えることができない。これでは、12年前のフランス大会と同じだ。開幕2カ月前の韓国戦に1対2で敗れ、4-4-2から3-5-2へシステムを変更したあの当時と同じことが、繰り返されようとしている。
「失望というのは、より多くのものを望み過ぎたからするものだ」
ドイツW杯直後の代表監督就任会見で、オシムさんが語った言葉である。4-1-4-1によるディフェンスに軸足を置いた戦いは、「より多くのもの望み過ぎる」ことではないと思う。玉砕覚悟で正面から向かっていけとは言わないが、ここまで追求してきた日本人らしさをすべて捨て去ったら、ドイツ後の4年間は何だったのかということになる。日本サッカーの方向性である『人もボールも動くサッカー』を具現化せずに、「惜しかった」などという曖昧な結末は見たくない。