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偉大な記録からツアー選手権制覇へ。
「58」達成の石川遼が目指す頂点とは? 

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塩原義雄

塩原義雄Yoshio Shiobara

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photograph byTaku Miyamoto

posted2010/06/02 10:30

偉大な記録からツアー選手権制覇へ。「58」達成の石川遼が目指す頂点とは?<Number Web> photograph by Taku Miyamoto

世界最少スコアの 「58」はどうやって生まれたのか?

 スタートホール。当然のように1オン狙いで林越えに攻めた。バンカーにつかまってしまったが、3メートルに寄せた。このパットを直線的に強めにヒットしてカップに沈めた。2番パー5。もちろん、2オン狙い。わずかに届かず手前エッジ。12メートルをパターで沈めにいった。決まらなかったが、楽々バーディー。そして、スタート前に石川が、逆転へのひとつの区切りホールと考えていた4番パー3を迎えた。

 小さく硬いグリーン。はずすと転がり落ちていってしまう。だが、ピンしか見ていなかった。7番アイアンで1メートルにつけた。これも沈めて3アンダー。5番ホールはドライバーで会心の1打を放った。ピンまで残り115ヤード。AWで手前2メートル。これも決めた。さらに6番ホールも第2打でピンを狙う。このショットだけは、ちょっと力が入った。この日、唯一タイミングのずれたショットとなってしまった。ボールは左奥のラフにこぼれていった。

「全ての幸運が自分に降り注がれたというか……」

 カップまで15ヤード。手にしたクラブはSWだった。ピッチ&ラン。これがカップインしてしまう。

「あの瞬間、何かが起きるというか、自分に今までにない何かが起きたと感じました。特別な力とでもいうのでしょうか。全ての幸運が自分に降り注がれたというか……。それが、何だったのか、今でもわからないのですけど、とてつもない何かが自分に起きたという感じがしたのです」

 落下点が極端に狭くなっている8番パー4ホールでは、ティーショットで2番アイアンを手にした。危険ゾーンを避けてから、攻めることを選択した。第2打で仕掛けて1メートル。9番では、初めてパーを意識した。

「このホールをパーでクリアすれば20台だなって、ちらっと考えました。ティーショットも、最終日の18ホールで一番緊張したかもしれません。第2打地点にいってピンを見たときには、もうパーのことは頭から離れていました。また、ピンに集中できました」

 2メートルにつけた。これを沈めて7個目のバーディー。前半9ホールを28で通過したあとも、バーディーラッシュは途切れることがなかった。さらに5バーディーを加えて後半9ホールは30。トータル58というとてつもないスコアの誕生だった。

【次ページ】 ゴルフツアー選手権のメジャー初制覇で名誉挽回を!

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