世界最高の技術・戦術がぶつかる決勝戦は、1点勝負に！

　イタリアは、ここ2試合用いてきた4-3-1-2を3-5-2に戻し、再び高い位置でのボール争奪戦を仕掛けるのか。

　決勝戦前の休養がスペインより1日少ないことを考慮すると、選手の体力的な負担が少ないのは4人によるディフェンスラインだ。が、決定は選手の実際の回復具合やキエフの気温・湿度を見てからになるだろう。特に攻撃の要となるピルロとカッサーノのコンディションはイタリアにとって極めて重要である。

　あと、ポイントになるのは右サイドの守備だ。今大会、スペインで一番怖いイニエスタがそこにいるからである。

　中盤のマルキージオにピルロ、そして右サイドバックのマッジョあるいはアバーテ。彼らは相当な集中力と運動量をもって“チーム”でイニエスタの動きに反応することになるだろう。同時に、試合を追うごとにイニエスタとのコンビネーションが良くなっているスペインの左SBアルバにも注意を払わねばならないが、こちらは普段左サイドに流れがちなカッサーノが右を狙うことで抑制しようとするのではないか。いずれにせよ、カギを握るのは連係だ。

　この一戦、大量のゴールは期待できない。おそらく1点勝負となる。

　しかし、だからといってつまらない試合になることはない。

　なんといっても世界最高レベルの技術と戦術、さらには精神力が一夜のピッチに揃うのだ。