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<6人の証言者が語る> 竹下佳江とJTマーヴェラス 「10年の軌跡」
text by
吉井妙子Taeko Yoshii
photograph byMami Yamada/Michi Ishijima/Nanae Suzuki
posted2012/07/06 06:00
トレーナーが語る、竹下の技術の高さの秘密。
さらに、竹下のパフォーマンスの高さは、身体の機能を知っているからだと田中は言う。
「選手は疲れてくると身体の重心が下がり、別の筋肉を使って楽をしようとする。そうすると、楽な筋肉の使い方が脳にプログラムされてしまい、修正するには5000回もやり直さなければいけないと言われています。でも、竹下選手は苦しくなっても楽をしようとしないから、間違った神経回路ができない。技術の高さはそこにある」
3年前からJTの監督を務める石原昭久は、頑固そうに見える竹下が意外にフレキシブルだったことに驚いたと言う。
「試合の組み立ては竹下に任せています。僕は事前に相手の情報を投げるだけ。彼女のトスを見ていると考え方が分かるし、僕のシナリオとそれほど変わらない。ただ、時には『あなたの描いたシナリオと違う方向にいっているんじゃない』と感じたときに、声をかける。僕もセッター出身だから分かるのですが、試合の途中で指示されると『うるさい』と思うはずなのに、耳を貸してくれる。そんな心の柔軟さも彼女の武器の一つになっている」
この10年、竹下はJTと共に成長してきた。そのチームの期待と願いを背負い、彼女は3度目のオリンピックへと向かう。
創部は古く、1956年茨木工場創業時に9人制チームの「専売茨木」として発足。その後「専売大阪」「日本たばこ」を経て'89年から「JT」となった。'90年代に入ると徐々に実力をつけ、'92年にはサマーリーグで準優勝し、'96年にはVリーグに初めて昇格した。チームが飛躍的に成長するのは'02年、江藤直美、森山淳子、竹下佳江ら日本代表経験者が入部してから。同シーズンのV1リーグに優勝し、3度目の昇格を決めると、以降はVリーグに定着。'06/'07年には初のファイナル進出を果たした。
韓国のエース、キム・ヨンギョンが加入した'09/'10年にはリーグ開幕25連勝を記録(歴代2位)。'10/'11年、ついに念願のV・プレミアリーグ初優勝を遂げた。黒鷲旗でも'03年以降5度の準優勝の末、昨年、今年と2連覇を達成。この10年間で7回表彰台に上がるなど、日本を代表するトップチームに成長を遂げたことを証明している。
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