「長いシーズンには苦しい時がある。乗り切りたい」

　ゼロからのスタートから、一歩前進したのは間違いない。だが、本当の意味で試練が待ち受けているのはこれからだ。

　今後は毎試合先発出場しながら、安定した結果を残していかねばならない。そうしなければ、再び他の選手との併用という立場に戻ることになるだろう。

　もちろん、日本でもそうしてきたように、毎試合出場しながら打撃の調子を維持していくのには慣れているだろう。だがその一方で、20連戦のような過密スケジュールを経験したこともなければ、時差があるような長距離移動も未体験だ。

　つまりメジャーという新たな環境の中で、日本と同じような活躍ができるかはまったく保証されていないわけだ。

　それを物語るように、あるインタビューで青木は休みのない、連戦でのコンディショニングの難しさを口にしており、6月に入ってからは、なかなか思うように結果を出せない時期もあった。

「僕に問題がある。長いシーズンにはこういう苦しい時がある。何とか乗り切りたい」

　6月5日のカブス戦後に日本報道陣に語った青木の言葉がすべてだ。翌々日となる7日には、その諦めない気持ちが実ったのか2本塁打を含めた5打数3安打2打点を記録している。

　依然としてチームは好調の波に乗り切れずにおり、シーズンもまだこれからという時期ではある。だがどんな状況であれ、現状を打開できるのは青木のバットしかない。

　とにかく青木が今後も納得のいくシーズンを送り、メジャー球界で日本人野手が再評価されるようになるのを祈るばかりだ。