濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
過去と未来を繋げたUFC日本大会。
新伝説も生まれた2・26をレポート!
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2012/02/27 11:55
挑戦者ベンソン・ヘンダーソンのハイキックが王者フランク・エドガーの顔面に炸裂する。華麗なフットワークで戦う王者に対し、体格とパワーで押す挑戦者。観る者に息もつかせぬ激しい攻防は、試合の最後まで続いた
メインで観客が目撃した“最高峰にして最先端”の凄み。
試合開始は午前9時半。
アメリカのプライムタイムに生中継するための設定である。会場で流される選手紹介VTRも、英語版に日本語字幕がついたもの。アナウンサーやラウンドガールも“直輸入”だ。そんな“いつものUFC”こそが、日本のファンにとってはスペシャルなものだったのである。
そしてメインイベントのライト級タイトルマッチは、UFCが持つ“最高峰にして最先端”の凄みを見せつけるような名勝負だった。
5分5ラウンド、25分間続いた両者の激しい動き。
挑戦者のベンソン・ヘンダーソンがサウスポースタイルから強烈なパンチとミドルキックを叩き込む。
身長175cmのヘンダーソンに対し、167cmと小兵の王者フランク・エドガーは絶え間ないステップで距離をコントロールし、鋭いステップインからパンチを連打する。
二人が繰り広げた闘いを象徴するのが、1ラウンドに見られた場面だ。
ヘンダーソンがローキックを放つと、エドガーは蹴り足をキャッチしてカウンターのパンチ。その直後、今度はヘンダーソンが掴まれた足を軸にしてジャンピング・ハイキックを振り抜く。一つの攻撃が次の一発を誘い、さらにそれが別の技を導く。どちらもアグレッシブで、どちらも動きを止めない。
文字通りノンストップの攻防だった。
しかもそれは5分5ラウンド、つまり25分間続いたのである。スピード、スタミナ、テクニック。そしてそれらを支える精神力。何もかもがハイレベルな二人の、ケタ外れの死闘だった。
判定3-0で勝利を収めたのはヘンダーソン。
新王者の誕生が、今大会のハイライトとなった。ただし、その後にもう一つの名場面があったことも記しておきたい。