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勝ち試合を落とす“優勝争い初心者”、
トッテナムに立ちふさがる二強の壁。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2012/02/02 10:30

勝ち試合を落とす“優勝争い初心者”、トッテナムに立ちふさがる二強の壁。<Number Web> photograph by AFLO

爆発的なドリブルでタッチライン際を蹂躙するギャレス・ベイル。今季は崩しだけでなくフィニッシュの精度も向上し、世界屈指のサイドアタッカーに成長した

マンCの司令塔をも凌駕した、ベイルの存在感と決定力。

 また、攻撃面では、ギャレス・ベイルという武器が例年以上に有効活用されている。

 昨季の時点ではまだ、「最終的には左SBに戻したい」とも語っていたハリー・レドナップ監督だが、今季は、ベイルが持つ突破力と左足のキレを前線で生かすための起用法に拍車が掛かった。結果として、22歳の左ウィンガーは第22節までに、既に過去4シーズンの合計を超える7アシストをリーグ戦で記録している。

 注目のマンC戦で決めた今季7得点目は、カットインからファーポストに流し込む、定番のゴールではなかった。カーブをかけてゴール上隅に放り込んだシュートは、ピッチ中央で、アーロン・レノンからのパスをダイレクトで捉えたもの。今季のベイルが、右ウィンガーとのサイドチェンジだけではなく、FWとのポジションチェンジで、ゴール前に顔を出す自由を与えられている証拠だ。得点機に絡む頻度が増したベイルは、マンCの司令塔、ダビド・シルバが霞むほどの存在感を放っていた。

肝心な試合の星を落とし、優勝争いからは一歩後退!?

 しかしチームとしては、このマンCとの大一番に敗れたことから、優勝候補としての存在感は薄れたと言わざるを得ない。

 一度は2点差を追いついての惜敗という内容は悪くない。後半ロスタイムに勝越しのPKを決めたマンCのマリオ・バロテッリは、本来ならば故意にパーカーを蹴った反則行為で退場処分となっているべきだった。PKを与えたレドリー・キングのファウルは、フルタイムをノーミスで終えたベテランCBによる唯一の個人ミスだった。とはいえ、トッテナムが勝たなければならない一戦で、勝てる試合を落としたという事実は変えようがない。

 その前週、トッテナムは格下とされるウルブズ戦で引き分け(1-1)に終わり勝利を逃してもいる。この試合は週明けまで試合がなかったマンCに対し、勝ってポイント数で並ぶことによりプレッシャーをかける絶好のチャンスだったのだ。同時期、得失点差で2位につけていたマンUは、ボルトンを叩いてキッチリ首位に迫っている。

 一方マンCは、ウィガンから手堅く3ポイントを奪い、続くトッテナム戦でも辛勝を収めている。第15節でチェルシーに今季初黒星を喫してから勝ちきれない試合が続き、年明けのFAカップ戦で宿敵マンUに敗れて「スランプ」という言葉も囁かれていたチームだが、改めて優勝候補の筆頭格として存在感を主張したのだ。

【次ページ】 敗戦で明白になった頼れるCFと決定力あるFWの必要性。

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