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ベッテルが、20年を経てセナと出会う。
「ブラジルGP2位」への疑問と称賛。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2011/12/04 08:01
今季最終戦、ブラジルGPの表彰台にて。チームメイトのウェバーから祝福のシャンパンを浴びせられるベッテル
「セバスチャン、今回のレースであなたはギアボックスにトラブルが発生し、レース中、あなたのレースエンジニアは何度もギアをいたわるような指示を無線で語りかけていました。そこで私はあなたと、あなたのチームメートであるウェバーのラップタイムを注目して観察していました。なぜなら、メカニックが提案したようにローギアでショートシフトした場合、上り坂が連続するセクター2区間のタイムが落ちるだろうと推測していたからです」
この質問は、レース後に行われる恒例のトップ3ドライバーを対象にした共同記者会見で、あるベテランの新聞記者がベッテルに向けて発したものである。
2011年の最終戦ブラジルGP決勝レースは、土曜日の予選で'92年にナイジェル・マンセルが樹立した年間最多ポールポジション記録を19年ぶりに更新したベッテルが、ポールポジションから好スタートを決め、序盤で3番手以下に大量リードを築いて幕を開けた。レースは今年11勝を挙げているベッテルと、2番手を約3秒差で追走するチームメートのウェバーの一騎打ちの様相を呈していた。
何故ギアボックスのトラブルで、タイムがあまり落ちなかったのか?
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しかし、14周目に国際映像を通して入ってきたベッテルのレースエンジニアであるジェローム・ロクランの無線によって、状況は一変する。
「セバスチャン、ギアボックスに深刻な問題が発生した!! 2速と3速はできるだけショートシフトチェンジしてほしい」
冒頭の質問をしたベテラン記者も、この無線を聞いていた。そして、ベッテルに次のように質問を続けた。
「2速と3速をできるだけショートシフトチェンジにしたにもかかわらず、あなたは大幅なペースダウンはしませんでした。途中、ウェバーにトップの座を譲ったものの、ウェバーのペースについて行き、2位でフィニッシュしました。ちょっと失礼かもしれませんが、私にはトラブルがあったとは信じられないんですが……」
その質問を聞き終えたベッテルは、少し戸惑いながら返答した。
「トラブルがあったことは事実だよ。もちろん、僕としてはなかったほうが良かった。でも、あったんだ」