キーマンを抑えることで得た、日本シリーズの主導権。

　それは、少なからず第2戦にも影響を及ぼす形となった。

　第1打席こそ安打を放ったものの、2打席目以降はチャンスで2度、凡退するなど5打数1安打。2試合トータルで9打数1安打と、内川は「MVP候補」から一転、「逆シリーズ男」の気配すら漂わせている。

　相手のポイントゲッターを沈黙させ、敵地で連勝を飾ることもできた。中日にとって、これ以上ないスタートを切れたわけだが、初戦でのチェンの好投がそれを実現させた、といっても決して大仰な表現ではないだろう。

　第2戦の試合終了後、「先のことを考えるといいことはない」と指揮官は気持ちを引き締めた。シーズンを圧倒的な力で勝ち抜いたソフトバンクの底力を考えれば、中日としてはホームの名古屋で日本一を決めるのは難しいかもしれない。

　だが、再び敵地に戻った第6戦、先発が予想されるチェンが、チームを頂点に導く可能性は大いにある。