オリンピックへの道BACK NUMBER
フィギュアスケートGPシリーズ開幕へ。
高橋、小塚、浅田たちの最新状況は?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2011/10/09 08:01
10月2日に行われた日本人選手たちの記者会見。浅田真央(前列右)は3年ぶりのGPファイナル進出を狙う。浅田にとっての初戦となるNHK杯は11月11日からスタート
10月21日から行なわれるスケートアメリカで、フィギュアスケートのグランプリシリーズが幕を開ける。いよいよ新しいシーズンの始まりである。
五輪中間年にあたる今シーズン、選手たちは2014年のソチ五輪を意識しつつ、思い思いのテーマを描いて、取り組んでいくことになる。
今年4月の世界選手権で銀メダルを獲得した小塚崇彦は、ショートプログラムに「インナーアージ」、フリーに「ファンタジア・フォー・ナウシカ」で臨む。
オリンピックの年だった2009-2010年のシーズンから、音を表現することにこだわりを見せていた小塚は、こう語る。
「音じゃなく、もっと細かい音符を感じていけたらと思っています。具体的には、自分の中で感じることを表に出すことがなかなかできなかったので、感じたものをそのまま全身で出したいと思います」
優れたスケーティングの技術に定評のある小塚は、どちらかと言えば表現の面で、課題を抱えてきた。シーズンを重ねるごとに向上はしてきたが、さらに飛躍を期すことになる。とくにフリーは自ら選んだ曲だけに、音楽に入りやすく、課題の克服には適しているのではないか。世界選手権で圧倒的な滑りを見せて金メダルのパトリック・チャンに肉薄するためにも、シーズンを通じてどこまで深めていけるかが注目される。
ソチ五輪に向けて新たなる一歩を踏み出した高橋大輔。
高橋大輔も意欲的だ。
世界選手権で靴のビスが外れるというアクシデントに見舞われ、大会連覇を逃した高橋は、その後、ソチ五輪までの現役続行を決意。今シーズンは、3年後を見据えての年であることを明確にし、オフには、さまざまな面で、見直しを図ってきた。靴のメーカーの変更、スケーティングの修正、さらにはバレエのレッスンへの取り組み……。
10月1日に行なわれたジャパンオープンでは、フリーの「ブルース・フォー・クルック」を披露したが、ブルースは今までにないジャンルの曲である。
「今シーズンは、ショートもフリーもイメージを変えたい気持ちがありました。まだ解釈やどう滑ればいいのかというのが難しく、しっくりきていません。これからシーズンの終わりまで時間があるので、ゆっくりやっていきたいです」
そう語るように、ジャパンオープンでの滑りは、まだまだ、という出来にとどまった。
それでも高橋が笑顔だったのは、今はソチを見据えての第一歩であることの自覚からだろう。スケーターとして、さらに幅を広げたい、ベースとなる部分を引き上げたいという意志にも、もう一度オリンピックへ向かう覚悟がうかがえる。
男子ではそのほか、織田信成、羽生結弦がグランプリに2戦ずつエントリーしている。
「最終的には、(グランプリシリーズ上位6名が出場できる)グランプリファイナルまで行けたら」と、羽生も意気込みを語る。