野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
岡田監督はノムさんを越えるか?
オリックスがボヤキ効果で絶好調。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/09/23 08:02
岡田彰布監督のコメントを求めて今日も番記者が殺到する。楽天時代の野村克也監督は、チームが勝っても負けても話題を振りまいたが、岡田監督のボヤキもその域に達するのだろうか
大敗でボヤくたびに始まる連勝街道の不思議。
9月14日楽天戦。6-8。
「きょうは完封勝ちやろ。完封勝ちが8点になるんやもんなあ。注意したら完封勝ちよ」
一時は4点差を逆転するものの、先発の中山が6失点、平野が勝ち越し点を与えての逆転負け後のコメント。8失点の負け試合を「完封勝ちだった」と言ってしまう、敗戦投手の弱った心の抉り方が絶妙だ。
この言葉に投手陣が肝を冷やしたかどうかは不明だが、その後、チームは5連勝。当事者の中山は次の登板のソフトバンク戦で8回2/3を1失点と好投。平野に至ってはその後の4試合、ヒット一本も許さないパーフェクトピッチングを継続中だ。
今季最下位からの大反攻のきっかけとなった、交流戦7連勝の時はどうだったか。直前の5月28日の対中日戦。1対5で敗戦した試合後のコメントを見てみる。
「ナメてるように投げとる」
今季開幕から笑顔の4連勝を果たして話題となった西がKOされたことを受けてのコメント。素行の悪い先輩に呼び出された時のようなピュアな笑顔も吹っ飛ぶ強烈なインネンではないか。
この言葉に投手陣が性根を入れ替えたかどうかは不明だが、オリックスはその次のカードから7連勝。その間の防御率も1.64と大幅にアップし、交流戦を15勝7敗2分で乗り切り、躍進を果たした。
リーグで唯一首位のホークスに勝ち越しているチームなのだ!
ちなみに8月の大型連勝のことを付け加えておくと、6連勝の直前には福間コーチが育成コーチに。9連勝の直前には正田コーチがフロントへ配置転換となっている。これは岡田監督ではなく球団フロントの人事なので、また別の話。
さらに遡って5月11日のソフトバンク戦。3対5で敗戦後のコメント。
「打てませんでした。打たれました。で、終わんのか?」
今季のベストコメントと言ってもいいこの言葉。選手の気持ちになってみると胃のあたりがキューンと縮こまり早退したくなってしまう。
この言葉に発奮したかどうかは不明だが、この日までにソフトバンク戦、5試合1勝3敗1分と負けが込んでいたチームは、その後ホークス戦5連勝(その後5連敗してT-岡田に「使えんやろ。ボールばかり振って」と言ったら、再び4連勝)。通算10勝8敗1分と唯一首位ホークスに勝ち越しているチームとなっている。