光星学院は立派にその役目を果たしたのではないか。

　表彰式の後、準優勝盾を受け取り、あの拍手を浴びた心情を川上はこう振り返っている。

「正直、金の盾が良かったなっていう想いも出たんですけど、拍手を聞いて、こんなたくさんの人が応援してくれてたんやなって思いました。応援してくれる人がいる限り、恩返しをしようと思ってやってきたし、結果を出すことが一番の恩返しやと思ってやってきましたけど……ここまでこれただけでも良かったと思っています。“最高の夏”でした！」

　この言葉、被災地を少しでも勇気づけようと、この夏奮闘した東北の高校球児たち全員の想いが込められたものではないだろうか。甲子園でできる恩返しは、単なる勝敗ではなく「心に何かを残すこと」だ。光星学院は敗れたとはいえ、その恩返しができていたのではないだろうか。

　だから、東北最後の砦として決勝戦を戦った光星学院が浴びた最後の拍手は、被災地のすべての高校のものだ。今でも、そう思っている。

　3月11日の大震災から特別な想いを過ごした、被災3県、東北6県の“最高の夏”が幕を閉じた。