野球善哉BACK NUMBER

ついに野球界のプロアマが団結!!
「学生野球憲章」改正という大革命。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

PROFILE

photograph byKYODO

posted2010/03/08 10:30

ついに野球界のプロアマが団結!!「学生野球憲章」改正という大革命。<Number Web> photograph by KYODO

'09年11月22日に東京ドームで開催されたU-26NPB選抜vs.大学日本代表の試合は、プロ野球を管轄する日本野球機構と、アマである全日本大学野球連盟双方にとっての、初めての交流戦であった

憲章改正で交流試合の実施、プロによる技術指導が解禁へ。

 しかし、時代を経て野球を取り巻く環境は大きく変化してきた。少子化が進み、さらにサッカーなど若い世代の関心が他競技にも向くようになった今は、対策を講じなくても競技人口を増やせた時とは違い、より質の高い組織力が求められている。サッカー界がそうであるように、プロもアマチュアも共存共栄の観点に立って、盛り上げていかなければならないのだ。

 高校野球連盟メンバーの一人は言う。

「(今回の改正で)学生がプロ野球と関わってはいけないという観点からプロと交流していこうというものに変わってきている。プロ野球が持っている技術というものは高いものがあるわけだから、それを見捨てるわけにはいかない。こういう時代に頑ななことをいっていてはいけないということ。将来を考えたら、変わっていく1ページになるように思う」

 今回の改正は他にも多くの改善が見られたが、ことプロ・アマの問題に関してだけを見てみると、プロと学生の試合が実現可能になり、一定の条件をクリアしたものであれば練習会や講習会を開けるようになった。アマ資格を持たないプロ野球関係者による技術指導が行えるようになったというのは、関係が断絶されてきた過去を思えば、技術力・知識の共有という点で大きな進歩だ。

打算ではなく、野球界全体の発展を視野に入れた交流を。

 こうなったことで、一部報道などでは、昨秋に行われた「U-26NPB代表vs.大学日本代表」の試合を引き合いに興行面の効果を話題にしているが、それだけではなく、共存共栄の意義深い交流が日本の野球界に芽生える点が重要なのだ。

 プロ野球選手を多く輩出している名門大学の監督は言う。

「それは嬉しいことですよ。長年、こうなって欲しいと思っていました。学生側からすれば失うものはないですよね。プロとできれば全力でぶつかっていけますし、投手が抑えれば自信にもなる。試合前のノックなどでも参考になり、アドバイスも受けることさえ可能なわけですから。試合をするとしたら二軍との交流になるかもしれませんが、二軍といえども彼らはプロ。技術はもちろんのこと、取り組む姿勢などを見るだけでも勉強になります」

 プロと学生の双方にかかわる立場にいるプロ野球のスカウトも、同調する。

「プロは学生には負けられないという気持ちがあるだろうから、それだけでも意識の向上や刺激にもなりますよね。お互いの発展の意味でよい機会になるはず。大学生のあの選手が欲しいからというような打算的な意味で練習試合をするんではなくて、野球界を一つにしようという思いでみんなが動くべきですよね」

【次ページ】 プロ・アマが一堂に会する野球版「天皇杯」が実現!?

BACK 1 2 3 NEXT

プロ野球の前後の記事

ページトップ