杉山茂樹のサッカー道場BACK NUMBER
岡田ジャパンの異様な風景。
闘莉王のカバーに遠藤って?
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT
posted2010/03/06 00:00
岡田ジャパンの異様な風景。闘莉王のカバーに遠藤って?
弱者との対戦を繰り返しているうちに強者の論理に陥った。
弱者との対戦を繰り返しているうちに、強者の論理に支配されていてしまったのだろう。岡田サンの対応はあまりに緩い。闘莉王のフィーリングそのままのサッカーを、チームとして行なっている。時に貴重なゴールも決めるチームの中心選手に、強い態度を取れずにいる。
それではマズイと遅まきながら気づいたのか、バーレーン戦では、きちんとしたルールが施されていた。闘莉王が上がると、なんと遠藤がせっせとそのカバーに回ったのだ。したがって、中澤の横には、遠藤が試合の半分近い時間、センターバックとして構えていた。
だが、申し訳ないが、遠藤にセンターバックとしての資質はまったくない。相手にとってそこは格好の狙い目になる。W杯の舞台で、それは絶対やるべきではない。
闘莉王の攻め上がりを許すなら、守備的MFは遠藤、長谷部ではダメだ。ストッパーもこなせる対人動作、ボール奪取力に優れた選手を最低でも1人置かないと、格上にはやられる。具体的には、今野、阿部、稲本らが不可欠になる。
得点力不足が言われるがW杯本番では守備力が求められる。
遠藤は完全にゲームメーカータイプだ。長谷部もドイツに渡り守備力を高めているとはいえ、基本的にはパッサーだ。ある時、稲本ではなく長谷部を優先する理由を聞かれた岡田サンは「狭いスペースのなかでのボールの操作に優れている」ことを挙げたが、この2人を揃って守備的MFで起用するところは、まさに強者の論理にほかならない。
日本代表で最も叫ばれているのは得点力不足になるが、格上との対戦は必然的に相手の攻撃時間が長いことを意味する。相手ボールをいかに奪うか。相手の攻撃をいかにストップするかが、得点力以前の問題になる。
本田圭佑の加入で、得点力がいくらかアップしたことは確かだ。前のほうで頼りになる選手が1人増えたことは喜ばしい話になる。本田の加入と、いつもなら 1点差で終わっていたバーレーンに対し、2点差をつけて勝てた理由には深い関係がある。しかし、バーレーンがカメルーンならスコアは2-0ではなく、 2-4になっていた可能性は高いのだ。