日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
アジア3次予選「C組」の落とし穴。
ザックが直面する対戦国との因縁。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/08/03 10:31
U-22の五輪予選を中東で観戦していた時のザッケローニ監督。長年欧州で指揮を執って来たザッケローニ監督にとって、アジア予選の気候の複雑さは大きな壁となるかもしれない
「まずは初戦に集中」ザック監督も北朝鮮戦を重要視。
ジーコジャパンと岡田ジャパンに共通するのは、序盤の3戦目をターニングポイントとして苦境を乗り切ってきたことだ。ジーコジャパンはインドに7-0、岡田ジャパンはオマーンに3-0と、いずれも試合に集中できるホーム開催で立て直した。
今回のカレンダーでは3戦目のシリア戦がホーム開催なので、ここは是が非でも勝ちたいところ。その後は、シリアと北朝鮮との過酷なアウェー戦が続くので、序盤に苦しい戦いが続いてしまうとそのまま悪い流れを断ち切れないことも十分に考えられる。
特に初戦の北朝鮮戦(ホーム)を引き分け以下で終わってしまうと、必要以上に追い込まれた気持ちになってくるだろう。ザッケローニも「まずは初戦に向かって、集中していく」と北朝鮮との一戦に意識を向けている。失点をしないことが第一だが、ここでしっかりと勝ちきることが肝要になってくる。
W杯予選を占う8・10韓国戦でラッキーボーイは現れるか?
8月1日からは代表候補合宿が北海道で始まった。
近い将来、代表メンバーに入ってくるであろうU-22代表が多く呼ばれただけでなく、Jリーグで好調なプレーを続けている谷口博之、増田誓志、ハーフナー・マイクら新たなメンバーが続々と入った。将来を見据えたチームづくりを考える一方で、ザッケローニがこのタイミングで調子のいい選手たちを多く呼んだのは、3次予選を見据えての判断だ。
9月初旬の試合というのは日本にとっては厳しい条件になる。東日本大震災の影響でJリーグが夏に過密日程を強いられており、選手の疲労の色が濃くなってくる時期だと予想される。また海外でプレーする選手もシーズンが始まったばかりとあって、全体的にコンディションが上がっている状態とはいえない。だからこそ、こういったマイナスの状況をもろともせず、心身ともに充実してコンディションを上げているプレーヤーが必要になってくる。
久保も大黒もJリーグでの勢いを買われて代表に名を連ね、途中出場で出てきて日本の窮地を救った。今合宿、そして8月10日の韓国戦では勢いのあるラッキーボーイの登場に指揮官も期待しているはずである。
「W杯予選はとても興味深い初めての経験になる。常に新しいことに対する欲があり、初めての経験を楽しみながら(予選を)迎えたい」
指揮官は心地よい重圧に包まれている。
北朝鮮戦までちょうど1カ月。初戦をどう乗り切ることができるか、指揮官のチームマネジメントにすべては懸かってくる。