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アジア3次予選「C組」の落とし穴。
ザックが直面する対戦国との因縁。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2011/08/03 10:31

アジア3次予選「C組」の落とし穴。ザックが直面する対戦国との因縁。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

U-22の五輪予選を中東で観戦していた時のザッケローニ監督。長年欧州で指揮を執って来たザッケローニ監督にとって、アジア予選の気候の複雑さは大きな壁となるかもしれない

中立地での試合となってもシリア、北朝鮮の連戦は過酷。

 北朝鮮でのアウェー戦となるとさらに状況は厳しくなる。

 北朝鮮は2005年の最終予選の際、イランとのホーム試合で観客が暴動を起こし、FIFAの制裁措置によって中立地のタイで無観客試合を行なった経緯がある。北朝鮮は南アフリカW杯アジア地区3次、最終予選ともに韓国とのホーム試合において国歌の演奏と国旗掲揚を拒否して韓国の反発を買い、FIFAの仲裁によって中立地の中国で試合を行なっている。

 日本とは政治的な問題もあるため、今回もスムーズに北朝鮮での試合が行なわれるかは定かではない。しかしながら基本的には北朝鮮での開催が前提となってくる。北朝鮮では20年以上も試合を行なっておらず、反日感情の強さも懸念されるところだ。

 加えてシリアとのアウェー戦が11月11日、北朝鮮とのアウェー戦が同15日と近い日程で2連戦となることも無視できない。シリアのアウェー戦が中立地となっても中東が濃厚。長距離を移動してのアウェー&アウェーは少なからず疲労を伴う。ザックジャパンにはかなりの精神的な強さが求められてくるというわけだ。

最初の2連戦で“スロースターター”の汚名を返上できるか?

 3次予選の戦いでカギを握るのは、この11月の戦いの前にある最初のアウェー2連戦になるはずだ。つまり初戦のホームでの北朝鮮戦(9月2日)と続くアウェーでのウズベキスタン戦(9月6日)。何故、カギを握るのかと言えば、これまでの日本代表は“スロースターター”の戦いをしてきた歴史があるからだ。

 まずはジーコジャパン。1次予選(現在では3次予選)の初戦でホームにオマーンを迎え、ロスタイムに途中出場の久保竜彦が決勝点を挙げて1-0で振り切るという冷や冷やのスタートを切った。続くアウェーのシンガポール戦も暑さで動けずに2-1と辛うじての勝利。中田英寿が「最低の試合」と怒りをにじませた低調な試合内容だった。2試合とも勝利を収めたとはいえ、引き分けに終わっていても何らおかしくはなかった。

 前回の岡田ジャパンも同じだ。3次予選初戦のタイ戦こそ4-1で快勝していたが、2戦目のバーレーン戦(アウェー)でよもやの敗北を喫してしまっている。最終予選前の敗北は実に19年ぶりという屈辱であった。

【次ページ】 「まずは初戦に集中」ザック監督も北朝鮮戦を重要視。

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