青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
石川遼の“師”となった難コースたち。
今季最も厳しかったホール、ベスト3!
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2009/12/25 10:30
2009年度ジャパンゴルフツアー表彰式で史上初の9冠に輝いた石川遼。世界ランキングでも2009年度最終ランクが30位となり、マスターズへの出場条件に自力で達することとなった
ゴルファーにとってゴルフコースはいつも最高の師である。
一打ごとにさまざまなショットを要求し、時には甘美な達成感を与えてくれるが、時には技量の未熟さを容赦なく突きつけてくる。
石川遼は今年、世界各地を飛び回った31試合で558ものホールに出会ってきた。果たしてその中で一番厳しかった“師匠”は誰だったのだろうか。
「今年ですか? 去年なら間違いなく日本オープン(福岡・古賀GC)の17番のショートホールだったんですよ。今年はですねぇ……」
「ウーン」「アー」と呻きながら石川が眉間にしわを寄せ考え始めた。脳裏には超高速で2009年の全ラウンドがプレーバックされていく。腕を組み、口をとがらせ、首をひねり、空を見上げて30秒。
「やっぱり……全米プロの16番かもしれない」と石川はつぶやいた。
「難しい要素のほとんどが入っている」衝撃だった全米プロのコース。
8月の全米プロ選手権。今年の会場はミネソタ州チャスカのヘーゼルティン・ナショナルGCだった。ヘーゼルティン湖を望む16番パー4は同コースの名物ホールである。
石川は初ラウンドの時から「衝撃を受けました。これ以上は入れられないというぐらいに難しい要素のほとんどが入ってる」と完成度の高さに舌を巻いていた。
距離は402ヤードで緩やかな右ドッグレッグ。右には湖があり、左にはクリークが待ち受けている。
「ドッグレッグしていてフェアウエーが横向きなので280ヤード、300ヤードと飛ばしておきながら、ティーショットの距離感が重要になる」
フェアウエー右サイドは選手の目をさえぎるように木々が立ちふさがっており、日によって変わる風はティーショットを打ち出すべき方向を大きく変化させる。
さらに、小さな砲台グリーンを狙う時には取り囲む湖からのプレッシャーを受ける。無事にグリーンにたどり着いても、カップまでのパッティングラインも実に起伏に富んでいる。
全米プロは難ホールだらけだったが、国内ツアーでも……。
「全米プロは本当に難しいホールがたくさんありましたね。12番も500ヤードを超えるミドルホールなんで、セカンドが3番アイアンですからね。しかも打ち上げで。500ヤードだからって打ち下ろしてるわけじゃないし、あのホールも難しかったなあ」
アンダーパーが9人しかいなかったメジャーの舞台は、やはり並大抵の難易度ではなかったということだ。
そして、石川は再び考え始めた。
「もっとあるはずなんだよなあ」とつぶやき、しばらくしてから「あー、はいはい」と納得したように自分で何度もうなずく。