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Vol.7 荒木絵里香
オンリーワンを目指して 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

PROFILE

photograph byToshiya Kondo

posted2008/01/08 00:00

Vol.7 荒木絵里香オンリーワンを目指して<Number Web> photograph by Toshiya Kondo

 今年度リニューアルした、バレーボールの天皇杯・皇后杯全日本選手権は、1月6日、決勝を迎えた。リニューアル後の初代女王に輝いたのは、東レ。昨年12月に開幕したVリーグでも好調なスタートをきった東レは、リーグの勢いそのままに、昨季のVリーグチャンピオン・久光製薬をストレートで降して頂点に立った。

 今大会、攻守に渡って中心となったのがセンター・荒木絵里香だった。決勝では、スパイクとブロックで、エースのベタニア(ドミニカ代表)に次ぐ得点をたたき出した。

 日本のセンターは、ライト側に走り、片足で踏み切って打つブロード攻撃を得意とする選手が多く、荒木と全日本で対角を組む杉山祥子や、東レの西脇万里子もそうだ。それに対して荒木は、Aクイックなど真ん中からの攻撃を持ち味とする。天皇杯決勝、荒木は72.7%という驚異的な決定率を残したが、放った11本のスパイクは、ほとんどが真ん中からのものだった。

 前衛の攻撃が2枚で、ライトにサイドアタッカーがいない状態ではブロード攻撃が有効だが、前衛の攻撃が3枚の時には、真ん中からの速攻がより効果的だ。それは荒木が得意とするプレーであり、意識して磨いてきたものでもある。

 「日本のセンターは(ライトへ)走っての攻撃が多いけど、自分が真ん中から攻撃することで、サイドアタッカーが楽になるし、2人のセンターのタイプが違う方が、相手はやりにくいですから」

 どうすれば相手が嫌がるのか、そのために自分に何ができるのか。自分がコートに立つ意味を、全日本でも東レでも、荒木はいつも考えている。オンリーワンの選手になるために。

 荒木が初めて全日本候補の18名に選ばれたのは、04年のアテネ五輪最終予選の前だった。しかし、最終予選でも、アテネ五輪本番でも、12名に残ることはできなかった。その翌年のワールドグランドチャンピオンズカップでは12名のメンバー入りを果たしたが、出番はほとんどなかった。全日本のスタメンはずっと渇望してきたものだったが、その気持ちが強すぎて、コートに立つとガチガチになり、何もできなくなってしまっていたのだ。

 自分の持ち味を発揮しなくてはと思う一方で、荒木は揺れていた。

 「ポジションを獲るためには、他の人と同じことをしないといけないのかな、と悩んだこともありました。でもそれでは自分のプレーが出せない。もともとセンターっぽいセンターじゃないということは自分でもわかっていましたし…。すごく葛藤がありました」

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