Column from SpainBACK NUMBER
近代サッカーの思わぬ副産物。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byMarcaMedia/AFLO
posted2008/11/25 00:00
プエルタの死後、ボライタ医師は、危険を感じたら迷わずダメ出しするようになった。
「有名選手であろうと誰であろうと、検査結果に納得できなかったら、いまはすぐに不合格とします。『こうすればいい』というアドバイスは、もうしません。スポーツには不向き。それでおしまいです」
場合によっては、デラレッドもこれで引退となるかもしれない。
仮にカルデロン会長は間違っていた、デラレッドの心臓は健康だということにしよう。
しかし、それでも不安は残る。プエルタは死のおよそ1年前、スペイン西部のバダホスで行われた親善試合で目眩を起こした。その直後、クラブの勧めで精密検査を受けたが、心臓にも脳にも異常はみつからなかった。死亡時に確認された疾患も発見されなかった。ところが、後になって言われ始めたことではあるが、プエルタの病気の最初の症状は、このときの目眩なのだ。
現在レアル・マドリーのメディカルスタッフは神経科医や心臓病の専門医とチームを組んで、デラレッドの検査結果を分析している。カルデロン発言をかき消すように流されたニュースによると、本人は楽観的で、来月初めにも練習を再開できると考えているようだが、ドクターたちは慎重だ。
昨季ヘタフェで頭角を現し、スペイン代表に選ばれ、ユーロにも出場したデラレッドは今季楽しみな選手の1人だった。だが、彼がピッチに帰ってくる日は当分先ではないだろうか。