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ホンモノを目指す、多田野数人。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGettyimages/AFLO

posted2004/06/28 00:00

ホンモノを目指す、多田野数人。<Number Web> photograph by Gettyimages/AFLO

 インディアンズの多田野数人投手が、6月8日に今季2度目のメジャー昇格を果たした。これまでもレッドソックス時代の大家友和投手、昨年の木田優夫投手がいるが(さらに1995年ドジャースに入団した野茂英雄投手も、当時メジャーがストライキ中だったため最初はマイナー契約だった)、日本のプロ野球未経験者としてはマリナーズ時代の鈴木誠投手について2人目の快挙だ。

 昨年入団テストの末、インディアンズとマイナー契約。1シーズンで通算6勝2敗3セーブ、防御率1.55を記録し、1Aから3Aまで登り詰めた。そして今年は招待選手としてメジャー・キャンプに参加。オープン戦ながらメジャー初登板を果たし、4試合に登板しわずか1失点の好投を演じ、首脳陣にその投球を高く評価されていた。

 開幕は3Aスタートだったが、4月24日にメジャー初昇格。しかし3試合に登板し4回2/3で9安打5失点。5月7日に再びマイナー行きが宣告されていた。

 「やっぱりキャンプとシーズンは違いますからね。当然打者も本格的に打ってきます。でも自分の思ったとおりのピッチングができなくて悔しさがありました」

 わずか2週間で3Aに戻った多田野投手だが、一度メジャーのレベルを実感したことで、自分なりに目的意識を持ってマイナーでも前向きに調整することができた。

 「メジャーの打者を想定しながら投げてました。メジャーでは甘いコースは当然のようにヒットされる。厳しいコースでカウントをとるピッチングを心がけました」

 インディアンズの選手層の薄さもあり、故障者リスト入りした投手の代わり、再びメジャー昇格のチャンスが訪れた。

 「自分の投球ができる自信?逆にしなければならないですから。どんな立場でも結果を出さないといけないです」

 そんな必死さが投球に乗り移った。再昇格後初登板となった6月13日のレッズ戦。

4回途中から登板し、2回1/3を1失点無安打に抑え、チームの逆転勝利のお膳立てをする好投。首脳陣にアピールするのに十分すぎる内容だった。シーズン前にプライベートな部分で世を騒がせた多田野投手だが、今後はこのままメジャーに残留し続け軽快な投球で人々を沸かせてほしい。

 ところで、以前この場で今季のドラフト1位候補としてジェレッド・ウィーバー投手を紹介したが、最終的に12位でエンジェルスから指名を受けた。彼の代理人は数々の高額選手を抱えるスコット・ボラス氏。彼の暗躍(?)もあり、ウィーバーが希望する地元チームに指名されたらしい。13日にアリゾナ大に敗れ、あと1勝足りず念願のカレッジ・ワールドシリーズ出場を逃したウィーバー。いよいよこの夏からプロ野球人生をスタートさせる。

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