野球善哉BACK NUMBER
新庄を超える男・糸井嘉男。
その異常なパワーとセンスの原点。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2009/07/06 13:00
'06年に打者転向した男が、'08年には豪打を放っていた。
そして、さらに驚いたのが'08年の春季キャンプ。「新庄クラス」という言葉を胸に秘めながら、彼の成長を確かめに行ったのだ。そこでは、さらなる驚きと出会うこととなったのだが……。
打席での立ち姿はまさに新庄さながらだが、ど肝を抜いたのはそのパワー。紅白戦ではあったが、期待の右腕・糸数敬作のアウトローのストレートをバックスクリーンにライナーで突き刺す強烈な本塁打を放ったのだ。
これは、新庄じゃない。新庄のセンスに金本のパワーが合わさったかのような怪物が誕生しようとしているんじゃないか? と、その時思った。
イチロータイプか? パワーをいかした長距離砲なのか?
改めて、榎本氏の証言である。
「外国人に対抗できるだけのパワーも持っていると思います。それくらい飛ばせる。でも、糸井はシャイなところがあって、一生懸命やっているのを人に見られるのが嫌なタイプなんです。そういう内気なものがなくなって、爆発すればとんでもない力を発揮するかもしれませんね」。
打者になって4年目。眠っていた才能はようやく花開き始めたばかり。足をいかしたイチローのような打者になるのか、それとも外国人選手ばりの怪力でパワーヒッターを目指すのか? いまだ計り知れぬその才能がどこまで伸びるのか、想像がつかない。