当時、桜庭の強さの秘密はわかりにくかったが、スパーリングで鍛えた基礎の上に、応用である“スキップ”があればこそ、当時の格闘家を圧倒していったのだ。そして、この“スキップ”は強さに加え、もう一つの魅力の理由ともなった。

　「桜庭さんが残した功績で一番大事なのは、総合格闘技で“勝つ＋α”ということができるのを世界に知らしめたことでしょうね。常に考えていたと思いますよ、どうやったら面白い試合ができるのか、腕十字ひとつ取るにも“すごい”と思わせるような攻め方ができないかって」

　桜庭自身、「型にハマりすぎちゃ面白くないと思うんですよね。だって総合格闘技なんだから、要は何をやってもいいって事じゃないですか」と語る。

　そして、プロレスファンを喜ばせた技を繰り出した試合を思い出した。

　「確かビクトー・べウフォート戦で使ったローリングソバットなんて前の日に練習したんですからね（笑）。入るかなーなんて蹴ってみたら本当に入っちゃって」

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