SCORE CARDBACK NUMBER

母国のW杯優勝を祈り、頂点を目指すノヴィツキ。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

posted2006/06/22 00:00

 4年前の春、NBAプレイオフの取材で訪れたボストンで、タクシー運転手から「日本人がなぜ今こんなところにいるんだ」と言われた。モロッコ出身のこの運転手はサッカーが大好きで、いつかワールドカップを生観戦するのが夢なのだと言う。それだけに、母国でW杯が行われているのに別の国にいるなんて信じられなかったらしい。

 さすがにドイツ・バスケットボール界のスーパースター、ダーク・ノヴィツキ(ダラス・マベリックス)に対してそんなことを言う人はいないと思うが、それにしてもNBA8年目にして初めてのファイナル出場が母国でのW杯開催と重なるとは、ノヴィツキもついていない。

 「残念ながら、今はヨーロッパ中がNBAファイナルよりもサッカーのW杯に注目してしまっているんだ」とノヴィツキは言う。

 そう言う本人も、W杯は気になっている。子供の頃にテニス、ハンドボールなどスポーツ万能だったノヴィツキ。サッカーだけは「背が高すぎて」苦手だったというが、見るのは好きなようで「ワールドカップをドイツで応援できないのも残念だ。NBAファイナルに集中しなくてはいけないから、あまりテレビで見るわけにもいかないしなぁ」と悔しがる。

 「ドイツチームには7月9日の決勝まで進んでほしい。そうしたら僕も応援に行くつもりだ」

 もちろん、ノヴィツキにはその前に片付けなくてはいけない仕事がある。NBAファイナルでマイアミ・ヒート相手に4試合勝ち、NBA優勝することだ。

 サッカーでは生かされなかった7フィート(213cm)の長身はバスケットボールでは大きな武器となる。しかもただ背が高いだけでなく、ガードのような器用さも持ち合わせている唯一無二の選手だ。対するヒートの大黒柱、シャキール・オニールも「7フィートといえば僕のようにインサイドだけの選手と考えがちだが、彼は外でも効果的にプレーできるグレートプレイヤー」と絶賛した。

 特に今季は単なる外からのプレイヤーから脱皮、アグレッシブに中にも攻め込むようにもなった。「自分で自分のことはグレートプレイヤーとは言えない」と謙虚なノヴィツキだが、W杯の陰に隠れさせるにはもったいない。

バスケットボールの前後のコラム

ページトップ