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“マネーボール”は健在。
アスレチックスの節約術。
text by
津川晋一Shinichi Tsugawa
photograph byYukihito Taguchi
posted2009/03/26 08:58
まるで株式ニュースのような解説だった。「とにかくお金を使わない。価値が下がったときに、絶妙なタイミングで契約する」。数年前、あるエージェントがため息混じりにそう言っていたのを、ふと思い出した。“マネーボール”でお馴染みビーンGM率いるアスレチックスの補強方針である。このオフは特にそのお家芸が遺憾なく発揮された。
オープン戦も始まった3月6日、内野手のO・カブレラ、N・ガルシアパーラ、両名と1年契約で合意。カブレラは今オフFAの目玉選手の一人だったが、不況の煽りを受けたメジャー界のマーケットで移籍先が決まらず。昨年ホワイトソックスで900万ドルだった契約を400万ドルで買い叩いた。一方のガルシアパーラは球宴5度出場のスターながら近年は故障に悩み引退寸前だった。独自の調査でまだ価値があると判断し、契約したのは100万ドルという超底値。これで、525万ドルながら打撃不振と故障で不良債権化していたB・クロスビーを見切る目処が立った。