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打ち込まれた経験を生かせるか?
横浜復活のカギは正捕手にあり。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2011/04/10 08:00

打ち込まれた経験を生かせるか?横浜復活のカギは正捕手にあり。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

期待された昨季は、打率1割8分7厘という低い成績で終わった武山。OPSで見ても、2008年の.540から.572、.491と低迷し続けている

 昨シーズンの横浜は、ふたつの屈辱を味わった。

 ひとつは、球界に波紋を呼んだ球団身売り問題。しかしこれは、ファンの熱意と加地隆雄社長の尽力により防ぐことができた。

 そして、もうひとつは、チームワーストの99敗を記録した1955年以来となる95敗を喫したこと。プレーヤーからすれば、むしろこちらのほうが屈辱と言えるだろう。

 チーム打率2割5分5厘、防御率4.88は、いずれも12球団で最低の数字だ。ただ、打線のほうは、内川聖一がFAでソフトバンクへ移籍したとはいえ、リードオフマンとしての役割を果たした石川雄洋や成長著しい2年目の筒香嘉智など若手に加え、実績のある森本稀哲や渡辺直人を獲得。

 投手にしても、新人の須田幸太に2年目の真下貴之、4年目の田中健二朗ら若手の奮起、ベテランの三浦大輔が再起すれば昨年以上の結果を望めるだろう。

 では、今の横浜に足りないものは何か、となればひとつしかない。それは、絶対的な捕手の存在だ。

 昨シーズンのチーム防御率だけを見れば、“投壊”というフレーズが真っ先に脳裏に浮かんできそうなものだが、捕手に責任がないと言えば嘘になる。

メジャーの指標「捕手防御率」で見えてきた、横浜のチーム状況。

 それを浮き彫りにするデータが、「捕手防御率(CREA)」だ。

 メジャーリーグでは捕手の能力を判断する大きな指標となる数字であり、マリナーズ時代の城島健司が苦悩したのも捕手防御率が悪かったからだ。

 算出方法は至って簡単。対象捕手とバッテリーを組んだ投手の防御率がそれにあたる。これを、昨シーズン、投球回数100回以上だった清水直行、加賀繁、大家友和の3人の登板試合から割り出してみた。

 武山真吾……試合数43、投球回数250回1/3、自責点130。捕手防御率4.67

 橋本将……試合数20、投球回数109回、自責点63。捕手防御率5.20

 細山田武史……試合数5、投球回数29回1/3、自責点11。捕手防御率3.37

 黒羽根利規……試合数3、投球回数18、自責点8。捕手防御率3.99

 新沼慎二……試合数1、投球回数6、自責点3。捕手防御率4.50

 主力格の武山(26歳)と橋本(34歳)を見れば分かるが、決していい数字とは言えない。

 捕手防御率が物語るように、現在の横浜の捕手陣に求められているのは、安定したリードだ。しかしながら、この数字を目の当たりにしてしまうと、まだそこまで達していないのだと判断せざるを得ない。

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