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「日本に帰ってから償いますから」“怒る監督”に堂安律が一言…「本田圭佑と似通ったところが」敏腕スカウトが“中学生のリツ”にホレた日

posted2024/02/07 17:00

 
「日本に帰ってから償いますから」“怒る監督”に堂安律が一言…「本田圭佑と似通ったところが」敏腕スカウトが“中学生のリツ”にホレた日<Number Web> photograph by JFA/AFLO

アジアカップ準々決勝でイランに敗れ、悔しさを滲ませる堂安律。前半から積極的にプレスに参加するなど、勝利への意欲を感じさせた

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二宮博

二宮博Hiroshi Ninomiya

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 アジアカップで惜しくも8強で敗退した森保ジャパン。多くの選手がうつむくなか、10番を背負った堂安律は、責任を痛感しながらも自身のSNSで「必ずやり返します」と宣言した。ピッチで見せた闘争心、リーダーシップの源流はどこにあるのか。
 1994年からガンバ大阪のスカウトとして多くの選手を発掘してきた二宮博氏の著書『一流の共通点 スカウトマンの私が見てきた成功を呼ぶ人の10の人間力』(徳間書店)から堂安のエピソードの一部を抜粋して公開する。【前編:自己啓発力(常に目的をもち、自己を高めていくことができる力)について/後編に続く】※以下、時系列や所属は全て発売日(2023年7月18日)のママ

 リツ(堂安律)にヨーロッパで活躍する意識が生まれたのはいつだったでしょう。

 彼はガンバ大阪のアカデミー時代、都合三度、スペイン・バルセロナに遠征しています。ダイチ(鎌田大地)と同じく、このときも私が引率しました。

 少なくとも、感受性の強い中学時代に、その遠征に加わった選手たちは、世界最高峰のヨーロッパサッカーが雲の上の存在ではなく、必死に努力すれば手の届くところにあるという思いをもつことができたと思います。

“金の卵”がそろうバルセロナと練習試合

 遠征ではFCバルセロナの練習場を見学し、本拠地のカンプ・ノウで試合も観戦します。ただ、それ以上に、世界的に有名なFCバルセロナのカンテラ(育成組織)に所属する同年代のチームと練習試合を行うことにこだわりました。

 FCバルセロナのカンテラには、世界中から有望なタレントが集められています。2022年のW杯カタール大会で優勝したアルゼンチン代表のリオネル・メッシや、ヴィッセル神戸でも華麗なプレーを披露した元スペイン代表のアンドレス・イニエスタもカンテラ育ちで、彼らのようになるかもしれない“金の卵”がそろっているのです。金の卵たちと試合で対戦してプレーを体感することで、レベルの違いや、追いつくためにやるべきことが見えてきます。

 ガンバ大阪のアカデミーもJリーグのなかでは屈指と言えるほど技術を重視していましたが、FCバルセロナの選手たちは、さらにボールの扱いが丁寧で、プレーの質が高いのです。球際も激しいですし、ボールの置きどころ1つとっても、学ぶところがたくさんありました。

 遠征費はクラブで全額負担できないので、各選手からも旅費の一部を出してもらいましたが、そのぶんだけの「心の土産」をもって帰ってほしいと思っていました。

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