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W杯が48カ国に増えることについて、
世界最高のサッカー誌は、こう考える。 

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エリック・シャンペル

エリック・シャンペルEric Champel

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photograph byRICHARD MARTIN

posted2017/02/01 11:00

W杯が48カ国に増えることについて、世界最高のサッカー誌は、こう考える。<Number Web> photograph by RICHARD MARTIN

前回のブラジルW杯は、スタジアムやインフラ建設の問題などこそあれ、経済的には成功した、という評価がなされているらしいが……。

FIFAから離れていったスポンサーたち。

 2015年、FIFAは1億2200万ドル(1億1500万ユーロ)の財政赤字を計上した。2002年以来初めてのことである。同時にFIFAは、幾つかのメインスポンサーの離脱(ソニー、エミレーツ航空、コンチネンタルタイヤ、カストロール他)を発表し、その穴を補充すべくカタール航空、サムスングループとの交渉をはじめた。

 話し合いは現在も継続中で、決して失敗に終わったわけではないとスイスの地元紙は伝えている。しかしはたしてカタール航空が、FIFAのロゴマークの隣に広告看板を出して、物議をかもし続けているワールドカップ招致疑惑の問題を、自ら再燃させようとするだろうか。またサムスンには別の優先事項がある。創業者の孫にしてサムソン電子副会長、財閥の継承者と見られる李在鎔が、朴槿恵大統領のスキャンダルに関連した「容疑者」とされたのだ。

 はたしてワールドカップの拡大がそうした企業たちに、どんな犠牲を払ってでもスポンサーになりたいというモチベーションを与えるだろうか……。

新体制のFIFAは、迷走し始めているのか?

「(出場国の増加は)大会のクオリティと観客の興味に深刻な打撃を与えると考えています」と、アディダスのシニアディレクターであるオリバー・ブリュゲンは述べている。

「48カ国のワールドカップは魅力に乏しいものになるだろう」と、スポーツマーケティングのオーソリティのひとりであるパトリック・ナリーは『ルモンド』紙で語っている。

 そうであるならばテレビ放映権も引き下げられるかもしれない。観客動員も頂点に達した後、必然的に減少し始めるはずだ。

 昨季のチャンピオンズリーグ決勝を放映したフランスのテレビ局『D8』は、432万人という同局の視聴者新記録を達成した。だがそれも、それ以前の決勝を放映していたテレビ局『TF1』の記録には遠く及ばない。

 今月はじめにFIFAは、何人かの専門職の突然の退職を受けて、「諸問題の調整のため」ふたりのオンブズマンの採用を公表した。

 ブラッターが望みインファンティーノが1年前に開館した「FIFAワールドフットボールミュージアム(世界サッカー博物館)」は、もうすぐその扉を閉じるという。

 単なるひとつのパスミスなのか、それとも本当の退化の兆候であるのか?

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