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水原一平氏は「なぜ60億円超もの借金を背負えた」のか?…角界“野球賭博事件”関与で逮捕の元力士が語る「信用賭け」の恐ろしさ

posted2024/04/25 17:29

 
水原一平氏は「なぜ60億円超もの借金を背負えた」のか?…角界“野球賭博事件”関与で逮捕の元力士が語る「信用賭け」の恐ろしさ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2010年に発覚した大相撲の野球賭博スキャンダルで謝罪する当時の力士と親方たち。元大関の琴光喜が解雇されるなど大騒動となった

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欠端大林

欠端大林Hiroki Kakehata

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JIJI PRESS

 日本中を騒然とさせた大谷翔平選手の元通訳・水原一平氏の賭博スキャンダル。かつて日本スポーツ界において、違法賭博が大きな騒動となった事案として、2010年に表面化した「大相撲野球賭博事件」が挙げられる。なぜスポーツ界と違法賭博は結びついてしまうのか。当時、事件の渦中にいた元力士が振り返る、アスリートとギャンブルの暗部とは。<前後編の前編/後編を読む>

 日米球界を震撼させた大谷翔平の元通訳、水原一平容疑者の違法賭博問題。5月9日に予定されている罪状認否を経て司法取引が成立すれば、年内にも判決が下される可能性があると伝えられる。

 連邦政府の捜査当局が連邦地裁に提出した訴状によれば、水原容疑者は大谷の預金口座から1600万ドル(約24億円)もの資金を胴元に不正送金していた一方、違法ブックメーカーを通じたスポーツ賭博で約4100万ドル(約62億円)もの損失を抱えていた。

違法賭博事件でも類を見ない巨額の負債

 過去、日本においてもスポーツ界を舞台とした違法賭博事件は数多く起きているが、個人がこれほど巨額の負債を抱えたケースはなかった。

 違法賭博であったとしても、負けが何十億円と累積する前に、通常は何らかの「抑止力」が発動する。今回、水原容疑者が際限なく賭けを続けることができたのは、数十億円の大谷マネーと「ショウヘイの通訳」という社会的立場を胴元が評価していたからである。

 今回の悲劇を象徴するワードが「バンプ」(bump=信用で賭けられる上限額の引き上げ)だ。胴元に「バンプ」を何度となく懇願し、一発逆転の借金返済を狙い続けた水原容疑者だったが、深い沼から脱出することはできなかった。負け追いを重ねるギャンブラーの宿命である。

【次ページ】 突然「失踪」する力士まで…

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