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今年もパ・リーグが一枚上手か。
各球団の2014年ドラフトを完全評価!
posted2014/10/24 11:55
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
Kyodo News
10月23日に行なわれたドラフト会議で、81人が指名され、交渉球団が決まった。
投手46人、捕手7人、内野手18人、外野手10人という内訳で、指名はおおむね順調だった。その中でもいい指名をしたと思われるのが日本ハム、楽天、阪神だ。
日本ハムは4球団競合の末、抽選で有原航平(早大・投手)の指名権を得たことが大きい。最速156kmのストレートに加え、正確なコントロール、チェンジアップ、スライダーのキレ味を備え、1年目からローテーションに入って10勝近く勝てる力を持っている。
大谷翔平(20歳)、上沢直之(20歳早生まれ)、浦野博司(25歳)、中村勝(23歳)、鍵谷陽平(24歳)、白村明弘(23歳)、さらに26歳の吉川光夫まで含めて主力投手が若いチームにあって、完成度と将来性を兼ね備えた有原が入ってくる。大げさでなく、わくわくするような陣容になりそうだ。
2位以下でも、外れ1位の予想が一部にあった清水優心(九州国際大付・捕手)、浅間大基(横浜・外野手)を2、3位で指名し、将来への備えも万全。下位では4位石川直也(山形中央・投手)、6位立田将太(大和広陵・投手)、7位高浜祐仁(横浜・遊撃手)と前評判の高い大器を指名し、5位の左腕・瀬川隼郎(室蘭シャークス・投手)は宮西尚生のFA移籍に備えた指名で、即戦力にも目配りができている。
楽天の安楽智大は、復活すれば田中将大級。
楽天も1回目の1位入札で安楽智大(済美・投手)をヤクルトと競合、抽選の末に交渉権を獲得した。ストレートの最速は157km、これを高校2年時に計測した素質は破格である。右ヒジの故障で昨年秋以降の1年間は万全でないが、高校生に即戦力の活躍を見込むのがそもそもの間違い。2年後の大活躍をめざして治療・リハビリに努めてほしい。復活すれば田中将大(ヤンキース)級の活躍が見込める素材だ。
2位の小野郁(西日本短大付・投手)も素質豊かな右腕である。176cmと上背はないが、少し力を入れて投げれば楽に140km台後半を計測する馬力の強さは則本昂大(楽天)に似ている。体重が67kgと少なくウエイトトレーニングの痕跡がないので、これが70kg台後半になったら本格化への第一歩のサインだと思っている。