日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
スピード、パス、パワーが揃ったCB。
森重真人が代表で輝くための条件。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/10/29 10:31
ベラルーシ戦で、屈強な相手選手たちにも競り負けなかった森重真人。しかし、彼のポテンシャルはこんなものではないはずだ。
「今のプレーはどうだ?」と確認を欠かさない。
ファウルをしないでボールを奪い取る術、食い止める術を会得するために日々の練習から意識を高めた。激しくかつクリーンなディフェンスを心掛け、ゲーム形式の練習で体をぶつけた際、ファウルかどうか気になったら「今の俺のプレーはどうだ?」と相手に一つひとつを確認する徹底ぶりだった。集中力は切らさない。日々を妥協なく取り組み、現状に決して満足しないメンタリティーの構築が、彼を飛躍的に成長させていった。
J2で戦った翌年はカードの数を4枚に抑え、J1に復帰した2012年シーズンからは落ち着いた守備でディフェンスリーダーとなっていく。90分間持続して「熱」と「冷」をうまくコントロールできるようになった。
いまや森重は、Jリーグで屈指のセンターバックに成長した。ただ、代表では未知数。ベラルーシ戦では警告を受けており、後は世界レベルを経験しながら改善していかなければならない。
ポテンシャルの高さは、誰もが分かっている。代表の舞台でも自分を発揮できるかどうか――。
「圭佑くんや佑都くんたちとは全然違います」
11月には再度欧州の地に出向き、ザックジャパンは世界ランキング8位のオランダ、そして5位のベルギーとアウェーで対戦する。普通に考えれば、厳しい戦いになるだろう。
ゴールを脅かされる場面が増え、耐える時間もきっと長くなる。しかしもし森重がメンバーに選ばれれば、彼にとっては大きなチャンスとなる。出番が与えられたときに、世界トップクラスのアタッカー陣を相手に粘り強い守備を披露することができれば、チームの信頼を勝ち取れるし、己の自信にもつながる。
北京五輪世代に、追い上げてきた大器。
彼はこんなことも言っていた。
「現時点で立っている位置は、圭佑くんや佑都くんたちとは全然違います。でも僕は自分なりにしっかりと土台をつくれてきた分、これからもっと上に行ける自信があります」
森重真人のギラギラした思い。
手応えがあるからこそ、ギラつけるというもの。もうひと皮むける勝負の11月を、迎えようとしている。