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スピード、パス、パワーが揃ったCB。
森重真人が代表で輝くための条件。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/10/29 10:31

スピード、パス、パワーが揃ったCB。森重真人が代表で輝くための条件。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ベラルーシ戦で、屈強な相手選手たちにも競り負けなかった森重真人。しかし、彼のポテンシャルはこんなものではないはずだ。

ザック好みの、高い攻撃スペックを誇る現代型CB。

 後半15分、ドリブルで持ち上がって岡崎慎司にクサビの縦パスを送る。そこからFKのチャンスを得ると、本田のキックに頭で合わせて岡崎のシュートに持ち込んでいる。その3分後には同じように前にボールを持ち出して、今度は裏に抜けようとする岡崎のメッセージを感じ取ってスルーパス。惜しくもボールはつながらなかったものの、そこからCKを得ている。何とか打開したい、結果を残したいという積極的な意思を彼のプレーから感じ取ることができた。

 彼が言うところの「ギラギラした思い」。停滞した雰囲気を変えるまでには至らなかったかもしれないが、野心的な香りを漂わせていたとは思う。

 森重というセンターバックは、どのスペックにおいても性能が高い。

 持ち上がっていくスピードに、パスのセンス、そしてセットプレーで発揮される空中戦の強さは欧州のアウェー舞台でもその可能性を見ることができた。ビルドアップには定評があり「攻撃陣を守備陣が助ける」とセンターバックにも攻撃性を求めるザッケローニの考えに、十分合致するタイプだ。高いラインの裏をケアできるスピードも魅力である。

 ただ、まだ「可能性を見せている」段階であって「十分に証明された」わけではない。攻撃面ばかりでなく、本来の守備において世界レベルを相手にどれだけ迫力を見せていけるか、そしてどれだけチームのなかで存在感を高めていくことができるか。それが発揮できるようになれば、今野、吉田というセンターバックのレギュラー勢にもプレッシャーをかけられるはずである。

対人の強さと裏腹の「粗さ」を克服するために。

 元々、対人プレーには滅法強い。しかし彼は「粗さ」の欠点が指摘され続けてきた。警告(イエローカード)が無駄に多かったのだ。しかし3年前の2010年、大分トリニータから移籍したその年に、FC東京をJ2に落としてしまったという責任が、彼の意識を変えた。対応で後手に回ってファウルがかさむのは、右ひざの手術明けという理由もあったものの、集中力の持続にも問題があった。

 森重は以前、こう語っていた。

「メンタルの部分もそうですけど、普段の練習の取り組み方から根本的に変えていかなきゃいけないと感じました。自分から何かを見つけて、一生懸命取り組んでいかないと成長していかないと。毎日の練習から何かを考えながらやっていこうと思って、その一つがイエローの数を減らすことでした」

【次ページ】 「今のプレーはどうだ?」と確認を欠かさない。

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