5月16日に文藝春秋で行われたスペシャルトークショーは、90分間通して、参加してくれた方も笑いっぱなしの大盛り上がり。これまで取材を続けてきた野口さんも知らないエピソードも飛び出した充実の時間を振り返ってもらった。
坂本さんの「ポジティブ思考」をリアルに聞ける時間
「やっぱり花織さんなので、今まで起きたたくさんのいろんな出来事をポジティブに面白く変換していって、それを乗り越えていく、ということを繰り返してきているんですよね。ポジティブ変換できていく思考がこんな感じなんだな、っていうのをすごいリアルな声で改めて聞くことができて、それが楽しかったですね」
5月13日に引退会見を行った坂本さん。この会見も彼女らしく、スッキリ前に進むという明るさが印象的だった。その直後の16日に行われたトークショーでは、豪華に90分の時間をもらい、じっくりと野口さんが坂本さんの話を聞く形式……だったが、坂本さんから予想外のエピソードも次々と飛び出し、時間が足りない! と思うほどの盛り上がりとなった。

2024年の4月にも、NumberPREMIERのトークショーに出演してくれた坂本さん。今回のトークショーでは、その後の2年間、オリンピックプレシーズンとオリンピックシーズンについての話題を時系列で振り返る形で話を聞いた。
シーズン前の引退表明、驚きの真相
4年前の北京オリンピックに出場した際に、「次のミラノ・コルティナオリンピックが最後になるだろう」という思いはすでにあったという坂本さん。年齢的なタイミングを考えてもそうなるだろう……と見据えていたという。
逆算して考えたときに、最後の1年で一番いい曲で滑るために、SP、FS合わせて3年×2曲で6曲を滑ることができる。特にプレシーズンとなった2024-25シーズンは、SPはタンゴ、FSはシカゴとどちらもクイックな曲を選んだ。「ご本人もそういう曲は得意じゃないとわかって選んだ、というエピソードを、いろいろお話してくれましたね」
6曲の試行錯誤をした上で、オリンピックシーズンは得意な曲で。そしてそのシーズンを迎える前の6月、地元・神戸のシスメックスリンク完成のお披露目の場で、「このシーズンを限りに引退する」と表明した。
「その話になったときに、なんで先に宣言できたかという話を聞いたわけですよ。そしたら、『これ今だから言っちゃっていいかな』とか言いながら、『ポロッと言っちゃっただけ』という」

野口さんもリンクのお披露目の取材に行っており、坂本さんのインタビューの場にいた。「え?」と野口さんを含めたみんなが驚き、思わずお互いの顔を見合わせる、といった状況だった。
「花織ちゃんもみんなの顔を見て、記者の人たちの反応を見て、『あ、自分やばいこと言っちゃった』と後から思ったと話していました。で、その10分ぐらいのインタビューが終わって、携帯を見たらもうニュースになってて、友達やいろんな人からLINEがすごい数来ていた、と言ってましたね」
抜群のモチベーションコントロール「それが、カオリサカモトですよ」
自分の意図しないタイミングで思わず口から出てしまった引退宣言。ただ、大きなことを宣言して退路を断ち、「やらなくちゃ」と自分に火をつけるやり方自体は、坂本さんのモチベーションの作り方でもあるという。
トップ選手になればなるほど、モチベーションの保ち方は難しくなる。子供の頃は次々に新しい技ができるようになるが、ある一定のレベルまで到達すると、成果が見えづらくなる。目に見える成長が望めないまま、順位を上げていく、あるいは一度でもトップになると順位をキープしていかなければならない。そういった中でのモチベーションコントロールが抜群にうまいのが坂本さんだ、と野口さんは言う。

トークショーではオリンピックシーズンをじっくりと振り返ってもらったが、野口さんでも知らないエピソードがどんどん飛び出してきたという。特に「オリンピックに持っていったもの」という話題では、坂本さんのジェスチャーを交えた説明が最高に面白い。ぜひ、動画も合わせて楽しんでいただきたい。
ポッドキャストでは他にも、以下の話題を話している。
- 中野先生から気合いをもらって……坂本花織流、モチベーションの保ち方
- ミラノに4週間滞在。五輪期間中の食管理はどうしていた?
- SP5位のりくりゅうを迎えた坂本さん、その時の心境
- 今だからわかる、FSのジャンプをミスした理由
- 坂本さんは「鬼コーチ」になる!?
長年取材を続けていた野口さんも初めて知るエピソードが飛び出したスペシャルトークショー。動画を見て、ポッドキャストを聴いて、「坂本花織ワールド」を堪能してほしい。(5月19日収録)
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