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【Podcast】鍵山優真の「3枠?」発言に透けた「五輪前年のワールドは別物」…2年ぶり復帰アリサ・リュウの凄みとボストンの新鮮なフィギュア熱を解説《世界選手権》

表彰台のトップに立ったアリサ・リュウ。伸びやかで自然体の演技でファンを魅了した
 長年フィギュアスケートを取材し、選手とも信頼関係が深いライター野口美恵さんをゲストに、取材の裏話やホットなトピックをマニアックに解説してもらうポッドキャスト番組「リンクの残響」。毎月、様々な角度からフィギュアスケートを掘り下げています。
 今回は先月末に行われた世界選手権から、記事には書ききれなかった男女のこぼれ話を中心に語ってもらいました。

「オリンピック前の世界選手権というのは、普段とはまったく違う大会です。3枠取ることが絶対、絶対、絶対で、優勝するかよりも、2人(の順位を)足して13位内かどうか。プレッシャーは普通じゃないと思います」

 出場選手のうち、上位2人の合計が13位内であれば3枠を取れる。かつ、3人目がフリーに進むことができないと3枠は暫定となり、他の大会で枠を確定しなければいけない。今回の大会は出場した選手がそのプレッシャーと戦いながらの試合となりました。

 野口さんはかつてレジェンド・伊藤みどりさんや、高橋大輔さん、羽生結弦さんも直面した壁だとエピソードを交えて紹介。「普段の力が出せない怖い大会なんです」と話します。

 日本男子のエース・鍵山優真選手は、完璧なSPとは対照的にFSではなんと10位。終わったあとは心ここにあらず、という表情でインタビューゾーンに現れ、淡々と受け答えをしていたといいます。

「普通に応答しているんですけど、心配になってしまうぐらいで。思わず、『悔しいですか』と聞いてしまいました」。すると、鍵山選手の答えは…。

 佐藤駿選手は、現地でもらった宇野昌磨さんからのアドバイスを大いに力として、大舞台でも力を発揮しました。壷井達也選手は1月以降のシーズンに大きな大会に出るのが初めて、さらに枠取りのプレッシャーもかかる中、平常心ではいられなかったはず。SPで24位となりFSに進めるとわかったときは、取材陣もみんなで「よかった、よかった」と言い合ったそうです。

世界選手権直後、野口さんのインタビューに答える自然体のアリサ ©️Yoshie Noguchi
世界選手権直後、野口さんのインタビューに答える自然体のアリサ ©️Yoshie Noguchi

 女子は坂本花織選手の4連覇が期待される中、勝ったのは2年ぶりに復帰したアメリカのアリサ・リュウ選手でした。先月のポッドキャストでは、アメリカ代表にアンバー・グレン、イザボー・レヴィト、アリサ・リュウが選ばれたことに対して、四大陸などで結果を出したブラディー・テネルを選ばないのはなぜ? という話にもなりましたが、蓋を開けてみれば予想を覆す結果に。「アリサは今シーズン復帰して、のんびりやっていく感じなのかと思っていました。私の予想が甘かったです」と野口さんも脱帽です。

 「坂本花織選手のほうが圧倒的にスピード感もあるし、技術的にも難しいことをしているんです。純粋に見れば坂本選手の方がすごい。けれどアリサの自然体の姿や空気感が、場を圧倒している感がありましたね」

 逆にグランプリファイナルを制したアンバー・グレンは緊張で力を出しきれず。とはいえトップ6をすべてアメリカと日本の選手が占める結果となりました。

 「現時点だとここには誰も食い込めないという感じがありますね。でも韓国のキム・チェヨン選手やヨーロッパ勢、さらにオリンピックではひと枠が認められるロシアの選手たちが持っているスケートの美しさは、フィギュア界には必要だと思います」

 今回アリサ・リュウ選手はトリプルアクセルを跳びませんでしたが、武器としては持っています。坂本選手はトリプルアクセルは跳ばないと明言していますが、「日本選手もトリプルアクセルを跳べる人がほしいですね。みんなの演技の中身に変動が起こるかもしれません」と野口さん。いよいよ迎えるオリンピックシーズンにあたり、各選手の戦い方にも注目です。

 話題はほかにも

  • 佐藤選手のジャンプの力は「4回転の神」に追いつける
  • 世界のジャンプはロシア跳びが主流だが…
  • 伊藤みどりさんが「役立たず」と言われた衝撃エピソード
  • 開催地・ボストンの熱狂
  • ISU肝いりの盛り上げで今後大会が変わる?

などなど、多岐にわたりました。

 シーズンが終わり、選手たちは勝負の年へと向かいます。オフシーズンもマニアックネタをお届けいたしますので、楽しみにお待ちください。(4月16日収録)

※ポッドキャストをお聴きいただけるのはNumberPREMIER会員限定で、このページ下部でご視聴いただけます。

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photograph by Yoshie Noguchi

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