カド番大関琴欧洲の初優勝。夏場所での見事な復活劇に横綱同士の結びの一番が水を差した。勝負が決した後に土俵上で起こった小競り合いは、何とも後味の悪いものだった。朝青龍、白鵬それぞれに言い分はあろうが、力士の模範たるべき横綱が、決して起こしてはならない大失態である。この瞬間、横綱の品格は失墜し、権威は地に落ちた。
喧嘩両成敗の原則に基づき、理事長から厳重注意がなされたが、両横綱には猛反省を促したい。祖国モンゴルを離れ、一心不乱に稽古に励み、駆け上った相撲界の頂点。傍目にはうらやましい限りの出世だが、その頂に居続けるのは並大抵ではないことを、両横綱は理解していたのだろうか。心技体、全てにおいて研鑽し続けることが要求される孤高の地位であり、出来て当然、勝って当然の厳しい立場なのだ。70連勝を阻まれた際の双葉山の「我、未だ木鶏たりえず」という言葉を範とし、未成熟な「心」の部分を徹底的に鍛え直してもらいたいものだ。
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